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■NEWS 職員賃上げによる大学病院の独自負担が2.3億円に―全国医学部長病院長会議

登録日: 2025-05-01

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全国医学部長病院長会議は425日、定例記者会見を開き、大学病院の経営に関する調査結果を発表した。調査結果から、2024年度診療報酬改定や物価上昇などの影響で大学病院の経営が厳しい状況にあることが浮き彫りになったと説明し、次期改定に向けて、物価や賃金の上昇に対応できる仕組みの導入や大学病院の医療機関機能評価の必要性を訴えた。

同調査は大学病院の医療に関する委員会・DPCに関するワーキンググループが24度改定に伴う各大学病院への影響や諸課題について、次期診療報酬改定に向けた要望事項を整理するために会員82大学を対象に実施。調査は226日から326日にかけて行われ、賃上げや医療DXの状況、地域医療介護総合確保基金、高額医薬品の管理、消費税額、病院支出の推移などについて77大学からの回答をまとめ、速報版として発表した。

■賃上げによる経費増は5.4億、診療報酬の増収では賄えず

24年度改定で新設されたベースアップ評価料や入院基本料、特定集中治療室管理料などの加算で1大学病院当たりの収入は3.1億円の増収となる一方、職員の賃上げに伴う経費増は5.4億円となり、差額の2.3億円相当を病院が独自で負担していることが明らかになった。25年度は追加で1.5億円の負担増が見込まれている。

医療DXの状況では、これまでに大学病院の医療DX推進で必要となった経費は1大学病院当たり3106.9万円。25年度中に本格稼働を予定している電子カルテ情報共有サービスへの対応などで、今後さらに5022.7万円の必要経費が見込まれている。

病院支出の推移については、18年度から23年度で医業費用が20%増加している現状を説明。近年の物価高騰・人件費上昇の影響で、経費(光熱水費ほか)が37%増、給食・清掃などの委託費が28%増と経営に直接影響する項目での大幅な上昇が目立った。

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