厚生労働省は4月21日開催の社会保障審議会介護保険部会に、「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会」の中間とりまとめを報告した。高齢者人口が減少する中山間地域等でサービスを維持・確保するための人員配置の弾力化については、サービスの質低下や職員の負担増を懸念する意見があった。
中間とりまとめは、(1)サービス需要の変化に応じた提供体制の構築等、(2)人材確保・生産性向上・経営支援等、(3)地域包括ケアシステム、医療介護連携等―で構成される。このうち(1)では今後の人口減少・サービス需要の変化に地域差がある点に着目して全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」の3地域に分け、それぞれの特性に応じたサービス提供体制を構築していくことを提言。その際、高齢者人口・サービス需要とも減少する「中山間・人口減少地域」の対応策として、配置基準等の弾力化や介護報酬における包括的な評価の導入などを打ち出した。
「中山間・人口減少地域」での人員配置の弾力化について大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長)は、「移動に時間がかかる中山間地域の訪問介護では職員の負担が過重になり、人材確保が一層難しくなることが懸念される。報酬等も含めた総合的な検討を行っていただきたい」と要望。橋本康子委員(日本慢性期医療協会会長)も、「基準を緩やかにすればサービスの質が低下したり、職員の負担が大きくなる可能性がある。人数を少なくする見直しには注意が必要だ」と慎重な姿勢を示した。
一方、保険者の委員からは、「応能負担の強化、利用者負担の範囲の見直し、金融資産の勘案など、負担のあり方に関する課題についても早急に結論を出す必要がある」(幸本智彦委員・日本商工会議所社会保障専門委員会委員)など、給付と負担の見直しに関する議論を求める意見が相次いだ。
介護保険部会は現在、27年度施行予定の次期制度改正に関する検討を進めている。次回会合からは介護サービス提供・支援体制の再構築に向けた個別課題の議論に入る。