中央社会保険医療協議会は3月24日に開いた総会で、「令和2年度(2020年度)診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(20年度調査)の報告書案を了承した。かかりつけ医機能などに関する調査では、紹介状なしの大病院外来受診で新たに定額負担の徴収義務化対象になった一般病床200床以上の地域医療支援病院において、他の施設よりも高い比率で紹介状なしの初診患者数などが減少したことがわかった。
総会で了承されたのは、①かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等に関する実施状況調査(その1)、②精神医療等の実施状況調査(その1)、③在宅医療と訪問看護に係る評価等に関する実施状況調査、④医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況調査(その1)、⑤後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査―の5つの調査の報告書案。
①の受診時定額負担(回答856施設)に関する調査によると、新たに定額負担徴収の義務化対象になった許可病床400床未満かつ、一般病床200床以上の地域医療支援病院における紹介状なしの初診患者の比率は35.1%(前年度比5.6ポイント減)、初診時定額負担の徴収患者比率は10.7%(4.6ポイント減)。前年度からの減少幅はいずれも、従来から定額負担義務化対象だった施設や、選定療養として定額負担を徴収している施設よりも顕著に高かった。義務化対象の拡大もあり、選定療養として定額負担の徴収が可能な一般病床200床以上の病院に占める定額負担の導入割合は前年度の88.3%から89.9%に上昇した。
再診時定額負担の導入割合も41.2%から58.4%に拡大したが、初診時に比べると低いのが現状。他医療機関を紹介したにもかかわらず自施設を受診した患者から定額負担を徴収した比率は、特定機能病院0.3%、許可病床400床以上の地域医療支援病院が3.7%、許可病床400床未満・一般病床200床以上の地域医療支援病院が0.3%、これら以外の一般病床200床以上の病院が1.9%と、いずれもきわめて低い水準にとどまる。定額負担を徴収しなかった理由では、「救急の患者」、「自施設の他の診療科を受診中の患者」、「救急医療事業における休日夜間受診患者」などの回答が多かった。
「オンライン診療料」の実施状況なども調べた。調査に回答した700施設中、「オンライン診療料」を届け出ていたのは285施設(構成比40.7%)。同診療料を巡っては、20年度改定時に事前の対面診療の期間短縮(半年→3カ月)が、20年4月10日には新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例として、初診からの電話やオンラインによる診療の解禁や、施設基準の一部緩和がそれぞれ実施されている。こうした背景もあり、届出時期は20年4月1日以降が62.1%を占め、20年3月末以前の27.4%を大きく上回った。