政府は6月9日の経済財政諮問会議に、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)の原案を提示した。財政健全化に向け、歳出における社会保障関係費については、2022年度からの3年間も、実質的な伸びを高齢化の増加分に収める方針を堅持することを明記。個別の施策では、新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りになった課題解決のため、包括化の拡大も視野に診療報酬の見直しを検討し、医療提供体制の改革につなげることを提言した。
原案は、国と地方を合わせた基礎的財政収支を25年度に黒字化するなどとした「骨太方針2018」の財政健全化目標について、新型コロナの影響を踏まえた目標年度の再確認は行うが、歳出改革努力は22年度から24年度の3年間もこれまで通り継続すると明言。社会保障関係費についても、実質的な伸びを「高齢化による増加分に相当する伸び」に収める従来の方針を継続するとした。
社会保障分野の政策では、新型コロナの感染拡大で医療人材・資源の配分のあり方などの問題が顕在化したと指摘。その解決のために、入院医療の提供体制では地域医療構想について、地域医療連携推進法人制度の活用などによる病院の連携強化や機能強化・集約化の促進などを通じ、将来の医療需要に沿った病床機能の分化・連携を進めることを要求。外来医療では、かかりつけ医機能の普及・強化、診療所を含む外来機能の明確化・分化に加え、「さらなる包括払いのあり方の検討も含めた医療提供体制の改革につながる診療報酬の見直し」の実施を促した。
また、初診からのオンライン診療については、かかりつけ医による実施を原則としつつも、事前に患者の状態が把握できる場合には、かかりつけ医以外の実施も認める方向で恒久化の具体案を検討するよう求めた。
薬価制度改革の関連では、▶革新的な医薬品におけるイノベーションの評価と長期収載品の評価の適正化、▶OTC類似医薬品の保険給付範囲の見直し、▶後発医薬品使用の新目標(数量シェアを23年度末までに全都道府県で80%以上)の検証と医療機関別の使用割合を含む実施状況の見える化―などを検討課題として列挙。患者の通院負担を軽減する観点から、リフィル処方箋の検討なども盛り込んだ。