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【識者の眼】「日本の新型コロナウイルス対策は本当のところどうなのか─米国人にも聞いてみた(2)」佐藤敏信

No.5071 (2021年07月03日発行) P.57

佐藤敏信 (久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)

登録日: 2021-06-25

最終更新日: 2021-06-25

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まずは、新型コロナ対策の日米比較のお手伝いをしてくれるニール・ローゼンブラットさんをご紹介する(最後に略歴も記した)。

ニールさんは、25年前に来日した米国人で、現在は東京にある戦略コンサルティング会社のCEOである。厚生労働省はもちろん、ドイツの投資銀行家やボストンの再生医療研究者、インドやマレーシアのコンサルタントとも議論している。彼は私に、いつも「日本の医療制度がいかに優れているか、日本人は知っていますか? 米国では医療を受けるために破産する人が多いことを知っていますか?」と聞いてくる。今般の新型コロナ禍における日本の状況や対策についても、一過言を持っている。

そこで、ここからは彼と対話しながら進めていく。まずその大前提として新型コロナとの戦いにおける日本の「成績」を見てみよう。「死亡」が絶対的な評価の指標かどうかは、公衆衛生学的な観点から慎重に検討しないといけないが、死亡というデータそのものの信頼性が高いことから、重要な指標の1つであることは間違いないであろう。

Our World in Dataに新型コロナ蔓延期間中の、主要各国の全死因、全年齢についての経時的過剰死亡率について平年度と比較したものがある()。こうして比較してみると、日本はコロナ禍にあっても「あまり死ななかった」と言えるだろう。

「日本政府は新型コロナによる死亡を隠しているのでは?」とか「見かけ上のインパクトを小さくするためにPCR検査の数をコントロールしているのでは?」などの噂が流れた時期もあるが、こうしてみるとそうした疑問は杞憂だったと言っていいであろう。

ニール・ローゼンブラット:AzabuInsights Strategy Consulting(AzabuInsights.com)のCEO兼創設者。約25年前に来日。日本語能力試験は最高レベル。20代半ばでIR会社のジュニアパートナーを務めた後、ハーバード大学政治学部で学位を取得。ケロッグ経営大学院でMBAを取得。

佐藤敏信(久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)[新型コロナウイルス感染症]

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