診療報酬調査専門組織、入院医療等の調査・評価分科会は6月30日、2022年度の診療報酬改定に向けた本格的な議論に入った。この日は「急性期一般入院基本料」をはじめとする急性期医療の評価をテーマに意見を交換。厚生労働省はこの中で、急性期の入院料の評価に、救急医療や手術の実績などを加味することを論点として提示した。
厚労省はこの日の分科会に提示したデータで、「急性期一般入院料1」の算定医療機関では、ハイケアユニットなどの治療室を持つ病床規模が大きい施設ほど、救急搬送受入件数や手術件数などの実績が多いことを明らかにした。
それによると、「急性期一般入院基本料」の算定医療機関の治療室の届出で最も多いのは「ハイケアユニット入院医療管理料」で、「急性期一般入院料1」の算定医療機関では7割超が何らかの治療室の届出をしていた。治療室の届出割合は病床規模が大きい医療機関ほど高く、400床以上の「急性期一般入院料1」では、ほぼ全ての医療機関が治療室の届出を行っていた。
診療実績との関係の分析では、「急性期一般入院料1」算定医療機関は、特定機能病院と同程度の救急搬送者を受け入れており、年間の救急搬送件数は、治療室の届出があり、病床規模が大きい医療機関ほど多い傾向にあることがわかった。手術実績をみた場合も、「急性期一般入院料1」の算定医療機関の約9割が「総合入院体制加算」の施設基準に相当する「年間800件以上の手術」を実施。手術件数が多い施設ほど、治療室の届出割合が高いこともわかった。
分析結果を踏まえ厚労省は、診療実績に応じて報酬額を段階的に設定する現在の入院料の評価体系は維持しながらも、「救急医療や手術等の実施や高度急性期医療機能との連携も含め、急性期医療に係る評価の方法等をどのように考えるか」を、「急性期一般入院基本料」などの論点に位置づけた。
だが、議論では、「救急搬送受入と手術件数を実績、治療室を体制(基本評価部分)として評価すると読めるが、治療室の届出がない医療機関であっても夜間の人員配置を手厚くして対応している場合がある」(秋山智弥委員・名古屋大学医学部附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター教授)、「特に300床までの小規模から中規模の医療機関について、治療室のある、なしで急性期医療の内容に差があるかどうかを見ていく必要がある」(山本修一委員・独立行政法人地域医療機能推進機構理事)など、より詳細なデータによる慎重な議論を求める声が目立った。