中央社会保険医療協議会薬価専門部会は8月4日、2022年度の薬価制度改革に向け、薬価算定組織から意見を聞いた。この中で算定組織は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出等加算)」の対象拡大や、原価計算方式における製品総原価の開示率向上のための取組みなどを提案した。
薬価算定組織からの意見は、①効能追加の評価、②原価計算方式における開示率向上、③医薬品・医療機器等法改正に関する対応―の3項目が柱。①では、「新薬創出等加算」の対象になる効能追加の範囲拡大を提言した。現在は、新規作用機序医薬品に相当する効能追加のみが対象となっているが、これを新薬収載時であれば有用性加算などに相当する効能追加にまで広げる案を示した。
原価算定方式による新薬の薬価算定では、薬価算定プロセスの透明性を確保する観点から、製品総原価の開示度に応じて加算率に差をつける仕組みが導入されている。だが現状は、海外からの輸入製品を中心に全体の約半数を開示度50%未満の製品が占め、多くは原価の内訳は不明のまま、海外からの移転価格が示されるのみとなっている。このため、②では、移転価格の妥当性の確認方法や、移転価格であることを考慮した算定方法のルール化を提案した。
③では、20年9月に施行された改正薬機法で制度化された、「特定用途医薬品」(対象とする用途の需要が著しく充足していない医薬品等)と「先駆的医薬品」(従来の先駆け指定医薬品に相当)の薬価改定のあり方についての検討を求めた。
専門部会では、算定組織の提案に沿って検討を進める方針が確認されたが、新薬創出等加算の対象拡大については、支払・診療側とも、具体的にどのような品目が対象になるのかを確認した上で判断したい、と慎重姿勢を示した。