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ラップ療法への思い[プラタナス]

No.5080 (2021年09月04日発行) P.3

水原章浩 (医療法人三和会東鷲宮病院院長/循環器・血管外科/褥瘡・創傷ケアセンター)

登録日: 2021-09-04

最終更新日: 2021-09-01

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  • 話しは古くなりますが、2001年、病院では「褥瘡対策をするべし」というお達しがあり、褥瘡対策委員長を仰せつかりました。というわけで、それまで褥瘡に関心がなかった循環器外科医が、必要に迫られて褥瘡の勉強を始めたのでした。

    とりあえず褥瘡学会に参加し、そこで知ったのが、食品用ラップや穴あきポリエチレンで創の湿潤状態を保って治療するという“ラップ療法”でした。一目みて、これはいい!と直感し、いち早く導入して20年。それ以来4000箇所以上の褥瘡を治療し、ラップ療法関係著書20冊あまりを上梓するまでになりました。

    ラップ療法は医療用品を用いない治療法であることから、当初、褥瘡学会とも紆余曲折ありましたが、臨床研究を行った結果、従来法と遜色ない治療であることが認められ、現在ではガイドラインにも掲載される治療法になっています。

    ある日、一人の患者さんが連れ合いの奥さんと入院してきました。腸骨部に褥瘡があり、前医では創を消毒し、ガーゼで覆うというやり方で、痛みが強くて、処置のたびに死にたいと思うくらいで、食事も摂れない状態でした。私はそれまでの経験から、傷をみるなり、「絶対に治りますよ!」と患者さんに宣言したのです。

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