診療報酬調査専門組織の入院医療等の調査・評価分科会が10月1日開かれ、診療情報・指標とDPC/PDPSに関する作業グループ(G)から最終報告を受けた。急性期では、「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」のA項目で「心電図モニターの管理」の評価指標としての妥当性の検証が、回復期では、「回復期リハビリテーション病棟入院料5、6」を長期間継続算定している施設への対応などが、今後の課題として示された。
看護必要度の個別項目のうち、A項目の「心電図モニターの管理」は、該当する患者の割合が高いことから、これまでの議論で除外も視野に見直しを検討するべきだとの意見が出ている。作業Gは最終報告の中で、心電図モニターの装着の判断をモニターの保有台数など、医学的必要性以外の理由で行っている施設も見受けられ、必ずしも患者の状態を反映した項目とはなっていないと問題視。次期改定に向けた対応では、他の項目との該当割合との掛け合わせの結果や、項目から除外した場合の影響も検証しながら、急性期の評価指標としての妥当性を検討する余地があるとの考えを示した。
「救命救急入院料」の看護必要度の測定では、現在、ICU用の評価票が用いられている。だが、「救命救急入院料1、3」と「入院料2、4」では該当患者割合の傾向に明らかな違いがみられることなどから、「入院料1、3」はハイケアユニット(HCU)用の評価票に改めてはどうかとの指摘がある。こうした意見を踏まえて作業GがHCU用の評価票で評価してみたところ、「入院料1」の該当患者割合は47.1%(ICU用の場合22.9%)、「同入院料3」は55.8%(31.9%)と、いずれもICU用より高い結果となった。
回復期の入院医療では、「回復期リハビリテーション病棟入院料5、6」のあり方の検討が論点に挙がっている。「入院料5、6」は本来、新規で回復期リハを届出る施設を想定した入院料だが、これら入院料の届出病棟が1年後に上位の入院料区分に移行していた割合は、「入院料5」が26.1%、「入院料6」が56.4%にとどまっていた。このため、最終報告は、リハビリテーション実績指数が低いなどの理由で、何年もこれら入院料を算定し続けているケースがあるとし、対応を検討するべきだと提言した。
「療養病棟入院基本料」では、医療区分における「中心静脈栄養」の位置づけに言及。医療区分の導入当初と比べると、手技の安全性が向上し、一般的な医療行為として定着しつつあることから、これまで通り医療区分3の医療処置とすることの妥当性を検討する必要があると指摘した。
DPC/PDPSでは、標準的な病院に比べて医療資源投入量が少ない、あるいは平均在院日数が短い、DPC制度に馴染まない病院について、退出ルールを念頭においた類型化を行うことは、現時点では困難との見方を示した。このほか、他院からの転院患者を一時的にDPC病棟に受入れた後、地域包括ケア病棟や回復期リハ病棟に転棟させるケースがあることにも、問題意識を示している。