診療報酬調査専門組織の入院医療等の調査・評価分科会は10月1日、入院医療全般にわたる課題について、2022年度診療報酬改定に向けた2回目の議論を行った。論点となっている「回復期リハビリテーション病棟入院料」の入院患者要件への「心大血管疾患リハビリテーション」の追加では、追加に積極的な声がある一方、専門医の確保が困難だとする意見が目立った。「療養病棟入院基本料」では、看護配置25対1の経過措置適用病棟について、リハビリテーションを目的とした利用実態があることが問題視されている。
「急性期一般入院料1」では、特定集中治療室をはじめとする治療室の保有状況に着目した評価が、検討課題になっている。厚生労働省のデータによると、「急性期一般入院料1」の算定施設では、8割超が何らかの治療室を届け出ており、これら施設では手術、放射線療法、化学療法、分娩の年間実施件数が届出のない施設よりも多い傾向にあった。治療室なしの割合は、医療保険届出病床数が300床未満の施設で高く、治療室がない施設が他に届け出ている病床では、療養病床、回復期リハビリテーション病床、地域包括ケア病床が多い。
中小規模の病院の治療室保有率が低い点について、猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、同じ急性期病院であっても基幹病院とは地域で担う役割が異なるためだと説明。山本修一委員(独立行政法人地域医療機能推進機構理事)も、救急医療などにおける機能分化を踏まえた対応が必要だと、中小病院への配慮を求めた。中野 惠委員(健康保険組合連合会参与)は、こうした意見に理解を示しながらも、「急性期という点は抑えるべきだ。急性期一般入院料1は実績の評価が必要なのではないか」と指摘した。
回復期医療では、厚労省が「心大血管疾患リハビリテーション」について、新規患者が増加傾向にあることや、回復期におけるリハビリのニーズが高まっていることをデータで示した。これを受けて、「回復期リハビリテーション病棟入院料」の入院患者要件への追加を強く求める委員もいたが、医療関係者の委員の多くは、循環器科や心臓血管外科の専門医の病棟配置が難しいとして、否定的な見解を示した。
慢性期医療では、「療養病棟入院基本料」の経過措置適用病棟におけるリハビリテーションの1日当たり点数とリハビリテーション提供単位数が、療養病棟の中で最も高く、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の100床当たり人数も多いことが、厚労省のデータから明らかになった。中央社会保険医療協議会総会で支払側は、22年3月末で経過措置を終了すべきだと主張しており、今後、議論を呼びそうだ。