中央社会保険医療協議会総会は12月8日、後発医薬品の使用促進や医薬品の適正使用などについても議論した。この中で支払側は、費用対効果が見合っていないとして、「後発医薬品使用体制加算」等の段階的廃止を提言。診療側は、後発品の供給問題で医療機関などの負担は従前よりも増加していると反論し、現状維持を求めた。
後発医薬品の使用促進を巡っては、財務省が調剤の「後発医薬品調剤体制加算」について、 加算の算定総額が医療費適正化額を上回るなど、費用対効果が見合っていないとして、廃止を含めた見直しを求めている。
議論で、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、すでに後発品の使用割合が一定水準に達していることや、費用対効果が見合ってないことを考慮すれば、医科の「後発医薬品使用体制加算」や調剤の「後発医薬品調剤体制加算」等は、段階的な廃止を検討する時期に来ているとの認識を表明。まずは、後発品使用割合80%未満の算定区分の廃止、調剤における減算規定の厳格化と医科、歯科での減算規定の新設などを行った上で、段階的廃止に向けた議論を開始するべきだと主張した。
これに対して診療側は、後発品の供給問題などで、医療機関、薬局の負担は増大していることから、次回改定では見直しを行うべきではないとの見解を示した。
分割調剤では、推進に弾みをつけるため、処方箋様式などの見直しを求める日本薬剤師会と、反対する日本医師会の意見が対立する場面があった。有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「トレーシングレポート(服薬情報提供書)の活用を前提に現在の3枚連記を1枚にし、一定期間の反復利用を可能にするべきだ」と処方箋様式の見直しや手続きの簡素化を提言。支払側も賛同したが、城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、長期処方につながる分割調剤の推進を問題視。「長期処方は残薬リスクがあるほか、多剤投薬に気づきにくくなって病状の変化を見逃すなど、治療と保険財政両方への弊害があり、長期処方を助長する議論には日医として明確に反対する」と述べた。
このほか、「病院フォーミュラリ」の策定に対する診療報酬上の評価も論点となった。ただ、以前は積極推進派だった支払側からも、この日は慎重意見が相次ぎ、賛成意見は出なかった。