中央社会保険医療協議会(診療報酬基本問題小委員会)は6月1日、看護の処遇改善の検討状況について診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会から報告を受けた。各側委員は、対象病院に配分される処遇改善費用のばらつきの最小化や過不足に速やかに対応できる制度設計を模索する必要があるとの認識で概ね一致。より踏み込んだ議論が行えるよう、厚生労働省に点数化した場合のシミュレーションの実施を求める意見が相次いだ。
5月19日の分科会には、処遇改善の対象病院における基本診療料の算定回数や看護職員の実際の配置状況などに関する分析結果が示され、いずれにおいても病院間のばらつきが大きいことが明らかになった。このため委員からは、▶平均値だけではなく、どの程度のばらつきがあり、そのばらつきが許容できる範囲なのかの分析が必要だ、▶職員数と最も多い入院料を見て医療機関ごとに係数を設定するように、医療機関ごとに点数設定するのも一案ではないか、▶実際に点数化した場合にどのようになるのか、シミュレーションをいくつか出してもらい、それを確認してフィット感を探っていく必要があるのではないか─などの意見が出ていた。
分科会からの報告に対して、支払・診療双方の委員は実際に点数化した場合のシミュレーションを行い、その結果を踏まえて議論を重ねていく案に賛意を表明。また、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、患者数の変動によって医療機関の収入が増減する診療報酬で処遇改善を行う限り、どのような点数設定を行っても処遇改善費用の過不足は生じると指摘。問題解決のためには、「余裕を持ったバッファーを設定し、過不足に柔軟に対応できる仕組みがあることが重要だ」と提案した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、医療機関ごとに点数設定する案について、「検証のしやすさという点から選択肢のひとつとして考えられるのではないか」と興味を示した。安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「診療報酬改定で(処遇改善を)行うということは、イコール患者が負担する医療が増えるということ。その増えることに関して患者が納得のいく仕組みをつくる必要がある」と述べた。