10月からの後期高齢者の窓口負担見直しで、厚生労働省はこのほど医療機関向けの説明資料を作成し、ホームページ上で公開した。特に外来の窓口負担増を抑制する「配慮措置」の適用の判断や窓口負担徴収額の計算方法については、具体例を示しながら丁寧に説明している。
10月1日の制度改正で、一定以上の所得がある後期高齢者の窓口負担が現在の1割から2割に引き上げられる。その際、外来受診については、1カ月の窓口負担増加額を最大3000円に抑える「配慮措置」が導入される(2025年9月末までの時限措置)。
配慮措置の対象は、1カ月の外来の診療報酬点数が「3000~1万5000点」(外来医療費3~15万円)の後期高齢者。該当者では、かかった医療費の1割に3000円を加えた額が窓口負担の上限となり、同一医療機関の受診で上限額に達した場合は上限額以上の負担を徴収しない扱いとする。これに対して、患者が複数の医療機関や薬局などを受診し、これらを合算した1カ月の窓口負担増加分が3000円を超えた場合は、超過分が高額療養費として後日、患者が事前登録した口座に払い戻される。
医療機関窓口では、2割負担対象者の受診の都度、配慮措置の適用を確認する計算を行う。具体的には、①その月の外来の診療報酬点数の合計額を計算、②配慮措置の対象になる場合はその月の窓口負担上限額を計算、③前回の診療までの窓口負担額の合計と②の差額をその日の窓口負担額として患者から徴収―という手続きが毎回必要になる。
例えば、初回受診時の点数が2500点、窓口負担が5000円の患者が、同月内にさらに1000点分の診療を受けた場合は、合計点数が3500点になった2回目から配慮措置を適用。この日に徴収する窓口負担額は、この時点の上限額の6500円(2回目までにかかった医療費の1割3500円+3000円)と初回受診時の窓口負担額5000円の差額の1500円となる。
1カ月の外来診療報酬点数の合計が1万5000点(外来医療費15万円)を超えた場合は、配慮措置ではなく、通常の高額療養費制度における外来医療費の自己負担上限額(1万8000円)を適用する。
厚労省は医療機関に対して、▶レセコンの改修について業者に確認する、▶10月以降は健康保険証の自己負担割合と有効期限を必ず確認する―などの対応を呼びかけている。