厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」は9月9日、かかりつけ医機能について議論した。かかりつけ医機能の定義では、医師個人の機能ではなく医療機関の機能としてとらえるべきとする意見や、医師個人で担う機能と医療機関が連携して担う機能を区別する必要があるといった意見が出た。
かかりつけ医機能について、政府の「新経済・財政再生計画 改革工程表2021」は、その機能が発揮されるための具体的方策を2022~23年に検討すると明記。全世代型社会保障構築会議の中間整理も、かかりつけ医機能を発揮させるための制度整備を含む、医療・介護提供体制の改革に取り組む方針を打ち出している。また、今年度は外来の機能分化と連携を促す新たな取り組みとして、「外来機能報告制度」を創設。年度末には「紹介受診重点医療機関」が公表される見通しだ。
厚労省はこの日、▶かかりつけ医機能として想定される具体的な機能、▶かかりつけ医機能を発揮させる意義と、かかりつけ医機能の定義、▶かかりつけ医機能を発揮させるための制度整備-を論点として提示。医療計画の枠組みにとらわれない、幅広い視点での議論を検討会に求めた。
かかりつけ医機能の定義や想定する機能について岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、日病の会内委員会では医師個人ではなく、医療機関の機能としてとらえるべきだとの意見が大勢だったと紹介。これに賛同する声もあったが、猪口雄二専門構成員(日本医師会副会長)は、健康診断や予防接種、服薬の一元管理など、医師が個人として担うのが望ましい機能と、在宅患者の急変時や看取りへの対応など、医療機関が連携して担うのが望ましい機能をわけて議論するべきだと指摘した。
かかりつけ医機能発揮のための制度整備では、財務省の審議会がかかりつけ医の事前登録制を提言しているが、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、こうした考えに反対姿勢を表明。かかりつけ医を必要とする人が、かかりつけ医を探す助けとなる情報の提供体制構築が先決だと主張した。外来にとどまらず、在宅医療や地域包括ケアシステムへの関与についての議論を求める声も多かった。