診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は7月6日、地域包括ケア病棟についても意見交換した。この中で、救急搬送後に地域包括ケア病棟に直接入棟した患者は他病棟を経由した患者に比べて医療的な状態が不安定で、誤嚥性肺炎などの割合が高い特徴があることが判明。誤嚥性肺炎は早期のリハビリ介入が予後改善の鍵となるが、直接入棟の患者におけるリハビリの実施頻度や実施単位は低いこともわかった。
地域包括ケア病棟は今後増加が見込まれる高齢者の救急搬送への対応が求められており、その際の急性期病棟との機能分化の促進が次期改定に向けた論点の1つとなっている。
厚生労働省のデータによると、地域包括ケア病棟の入院患者うち、救急搬送での入院は19.5%。救急搬送後に一般病棟などを経由せずに直接入棟した患者は5.7%だった。救急搬送後の入棟経路別で患者の状態を分析すると、直接入棟は他病棟を経由した場合に比べて、①誤嚥性肺炎や尿路感染症の割合が高い、②医療的な状態が不安定、③医師の診療や看護師による直接看護の頻度・必要性が高い―という特徴があった。誤嚥性肺炎については、1日2単位以上の早期リハビリの実施が死亡率の低下、自宅退院割合の向上、在院日数の短縮に有効とのエビデンスがある。しかしながら、直接入棟患者におけるリハビリ実施単位数は1日2単位未満が6割に及び、実施頻度も低かった。
地域包括ケア病棟における救急搬送対応について、井川誠一郎委員(日本慢性期医療協会副会長)は、救急搬送の受入がない場合であっても自宅からの緊急入院は相当程度対応しているなど、各病棟が地域の実情に応じた役割を担っているとし、一律に救急対応を求めることに疑問を呈した。山本修一委員(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)は、直接入棟と他病棟経由の患者では入院から一定期間経過後の看護必要度がどの程度違うのかなど、アウトカムを踏まえた議論を行う必要があると指摘した。
一方、猪口雄二委員(日本医師会副会長)は誤嚥性肺炎への早期リハビリ介入について、直接入棟の場合は医療的に不安定な患者が多いためにすぐにリハビリを始めることが難しく、リハビリの実施単位・実施頻度が低いのもやむを得ないとの認識を示した。