株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

マイナカードによるオンライン資格確認ができない場合の対応【まとめてみました】

No.5182 (2023年08月19日発行) P.14

登録日: 2023-08-15

最終更新日: 2023-08-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マイナンバーカードを巡っては、カードと一体化した保険証に誤って他人の情報が登録されていたケースが8000件以上確認されるなどトラブルが相次いでいる。厚生労働省は、資格確認ができない場合でも通常通り1〜3割の自己負担となるような救済措置を設けているが、医療現場では依然混乱が生じている。8月3日の事務連絡で示された疑義解釈をもとに、オンライン資格確認ができない場合の患者負担やレセプト請求などの取り扱いについて解説する。

資格申立書で通常の自己負担割合が適用

厚労省は7月10日、オンライン資格確認ができない場合のレセプト請求に関する手続き(図1)を全国に通知した。

オンライン資格確認ができないケースとしては①「資格(無効)」「資格情報なし」と表示される、②機器不良等のトラブル─の2つのパターンがある。資格確認ができない場合、患者のスマートフォンのマイナポータル資格情報画面または患者が持参している被保険者証を用いて資格確認を行うことが考えられる。①と②のいずれも難しい場合は、救済措置として、患者が窓口で「被保険者資格申立書」(図2)の保険証等に関する事項(保険種別、保険者等名称、一部負担金割合など)とマイナカードの券面事項等(氏名、生年月日、性別、住所)などを記入・提出すれば、通常の自己負担割合が適用される。

過去に当該医療機関等に受診歴がある患者については、口頭で資格情報の変更がないことを確認し、申立書に記載する情報を把握できている場合には、申立書を提出したのと同様の取り扱いが可能だ。

医療機関が自己負担割合を判断

被保険者資格申立書において、患者が一部負担金割合の欄に「わからない」とチェックした場合は、患者の年齢等を踏まえつつ、前年の負担割合や前年からの変更可能性を可能な限り聞き取った上で医療機関が判断する。上記に限らず、医療機関が患者の申立てに基づく割合で一部負担金を受領した場合、実際の負担割合が異なっていた場合でも負担割合相違によるレセプト返戻は行わないことを基本とする。患者に対しては、当該保険者等から返還請求等が行われる。

保険種別の欄の「後期」に患者がチェックした場合は、事業所名の記載は不要だが、保険者等名称については、後期高齢者が必ずしも住所地の広域連合の被保険者であるとは限らないため、可能な限りの記載を求めている。

不詳請求は9月以降に請求可能

医療機関から審査支払機関へのレセプト請求については、保険者番号や被保険者番号が不詳のまま請求を行う「不詳請求」についての取り扱いが明確化された。

被保険者資格申立書の保険種別が「わからない」にチェックされていて、申立書や患者からの聞き取り内容等から加入している保険種別を特定できなかった場合、各医療機関等の判断で社会保険診療報酬支払基金か国民健康保険団体連合会のいずれかに請求を行う必要がある。審査支払機関でも保険者を特定できなかった場合は複数の保険者が按分して診療報酬を支払うことになるため、通常の支払いに比べ時間がかかる可能性がある。

70歳以上の患者で所得区分が不明の場合の特記事項の記載方法については、不詳請求を行った一部負担金の割合に応じて、3割の場合は「26区ア」、2割の場合は70~74歳は「29区エ」、75歳以上は「41区カ」、1割の場合は「42区キ」と記載するとされている。

不詳請求を行う場合、レセプトの摘要欄に申立書に記載された事項を記録する必要があるが、「保険者等名称」または「事業所名」が空欄の場合は、それぞれ「保険者等名称記載なし」または「事業所名記載なし」と記録する。

医療機関等から支払基金や国保連に対し再審査または取下げの申し出を行う期間は「不詳請求を行った日の6カ月後の日が属する月の20日まで」とされた。

不詳請求は2023年9月から請求が可能となるので注意が必要だ。

オンライン資格確認ができない場合の対応の詳細については、厚労省HP「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html)を参照いただきたい。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top