厚生労働省は8月31日、2024年度予算概算要求を財務省に提出した。既報の通り、一般会計の総額は33兆7275億円となり、前年度に比べて5866億円増加。このうち年金・医療などの経費は31兆8653億円(前年度比4820億円増)となった。
同省は概算要求に盛り込んだ主要施策集も公表した。
医療関係で新規事業として要求された主なものをみると、「医療・介護DXの推進」(166億円)では、保険医療機関が施設基準の届出をオンラインで行うことができるよう、保険医療機関等管理システムの改修を行う(5.1億円)。医療機関のサイバーセキュリティ確保事業として、外部ネットワークとの接続の安全性の検証・検査やオフラインバックアップ体制の支援を行う(3.5億円)。電子処方箋の有効活用のための環境整備事業(2.2億円)も盛り込んだ。
「地域医療構想等の推進」(922億円)では、医療機能情報提供制度に係るシステムの改修や、かかりつけ医機能報告制度の導入に向けたシステム改修の準備経費(8.4億円)が計上された。医療機能情報提供制度は23年度中に都道府県単位のシステム運用から全国統一の検索サイトに移行する予定で、24年度事業では、報告項目の改正に伴うシステム改修などを行うとしている。また、かかりつけ医機能報告制度の整備のため、D-MIS制度を25年度に改修するため、その要件定義などを行うとしている。
医療従事者の働き方改革に関連する新規事業もいくつか盛り込まれた。「医師の働き方改革普及啓発事業」(1.5億円)はインターネット上の動画放映、ポスターの作成、イベント実施などで啓発を行う。「医療機関における環境改善のための調査・支援事業」(1.2億円)は労働時間短縮に取り組む医療機関を伴走的に支援しながら課題の抽出や手引の作成などを行うとしている。
このほか医療関係では、女性の健康ナショナルセンター機能の構築(25億円)、HPV検査単独法導入に向けた精度管理支援事業(3300万円)、国立健康危機管理研究機構の設立に向けた体制整備(5.3億円)、新興感染症対応のための実践的な平時体制の強化(1.8億円)、地方衛生研究所の機能・体制強化(9.5億円)などが盛り込まれた。
女性の健康ナショナルセンターは、女性のライフステージごとに生じる健康問題について、病態の解明・予防・治療を進めるため国立成育医療研究センター内に設置されるもの。国立健康危機管理研究機構は国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して25年度以降に設置されるもの。その準備経費としてシステム関係、資産評価、施設整備などの経費を要求している。