日本医師会は9月6日の定例会見で、「令和6年度 医療に関する税制要望」を公表した。社会保険診療に係る消費税について、診療所は現行の非課税のまま診療報酬上の補塡を継続しつつ、病院においては軽減税率による課税取引に改めるよう要望した。
日本医師会は昨年の税制要望では、社会保険診療に係る消費税について、「小規模医療機関等」は非課税のままとし、「一定規模以上の医療機関」は軽減税率を適用するよう要望、「一定規模」をどこで線引するかが課題となっていた。
6日の会見で宮川政昭常任理事は、「線引に当たって有床診療所の取り扱いが焦点となり、全国有床診療所連絡協議会と協議し、アンケートもとった。その結果、非課税のままを望む声が多かった。このため「診療所」「病院」という医療法上の区分が客観的でよいと(会内の)委員会でまとまり、このように集約した」と報告。非課税のままで診療報酬による補塡を求める有床診療所が多かった理由については、「有床診療所は規模が様々で、課税取引にすると存続が難しいという意見が多かった」と説明した。
社会保険診療に係る消費税が非課税となっていることについて、日本医師会は長年、「控除対象外消費税」が医療機関の経営を圧迫しているとして、ゼロ税率や軽減税率、患者への還付制度などによりこれを解消することを求めてきた。仮に医療機関の種別により消費税率の取り扱いが変わる場合、これまで消費税分として補塡されてきた診療報酬を引き下げることや、いわば一物二価となるために患者にわかりやすい説明が必要になるなど、課題も多いとみられる。