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全国に広がるPFAS汚染の影響と対策は?〜原田浩二(京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野准教授)【この人に聞きたい】

No.5196 (2023年11月25日発行) P.6

原田浩二 (京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野准教授)

登録日: 2023-11-24

最終更新日: 2023-11-22

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血中PFAS濃度が高いと脂質異常症や腎がんなどの発症リスクが増加
国が全国の実態を把握し高濃度地域では低減対策を
疫学研究で日本人の健康への影響を調べる必要性も

はらだ こうじ:2002年京都大学薬学部卒業。07年同大学大学院博士課程修了(社会健康医学博士)。同大学大学院医学研究科助教、講師を経て、09年より現職。環境省PFASに対する総合戦略検討専門家会議委員。沖縄県や東京・多摩地区、大阪府、愛知県など各地のPFAS汚染地域での調査に取り組む。

有害性が指摘される高濃度の有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)が、全国各地の地下水などで検出されている。人体にどのような影響があり、どのような対策が必要なのか。20年前からこの問題に取り組んできた京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野の原田浩二准教授に聞いた。

2000年代初めにPFAS汚染が表面化

─PFASとは、どのような物質ですか。

有機フッ素化合物のうち、炭素と複数のフッ素が結合した物質の総称です。熱や光に強く、水や油をはじく性質があるので、たとえば、レインコートやスキーウェアなどの撥水コーティング、燃料火災用の泡消火剤、半導体の製造過程などに使われてきました。

PFASの問題が最初に表面化したのは2000年でした。米国の3M(スリーエム)社が、数多くのPFASのうちPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の製造を02年までに止めると発表したのです。PFOSとPFOAは特に自然界で分解されにくく、将来的に健康リスクが生じる恐れが否定できないというのが理由でした。

これを機に世界中で研究が広がり、日本でも、京都大学の小泉昭夫名誉教授を中心にPFASによる汚染状況調査が02年から始まりました。私は大学院生としてこの調査に参加し、秋田県から沖縄県まで全国10カ所の住民の血液中のPFOSとPFOAの濃度を測定しました。その結果、全国に汚染が広がっていることがわかったのですが、特に、関西圏でPF OAの血中濃度が高いことが問題視されました。

ただ、その後企業の自主的な取り組みもあってPFOSとPFOAの製造と使用は減ったので、この問題も収束が期待されました。

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