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破傷風

今なお恐ろしい「破傷風」を平易に解説!

定価:4,950円
(本体4,500円+税)

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立ち読み

著: 海老沢功(元東邦大学公衆衛生学教授)
判型: A5判
頁数: 200頁
装丁: 2色刷
発行日: 2005年07月20日
ISBN: 4-7849-5071-0
版数: 第1版
付録: -

「破傷風は本来予防注射の対象とすべき疾患で,治療の対象とすべきものではない」 「この傷は破傷風になる,あるいはならないという判断はいかなる名医でもできない」 「破傷風は比較的まれな疾患であるから,かえって危険な疾患である」
今なお恐ろしい感染症である破傷風を平易に解説した書の改訂版。

目次

序 文
chapter 1 破傷風の研究に貢献した人たち
chapter 2 破傷風ワクチンの効果
chapter 3 破傷風予防注射の実際
―不規則な破傷風予防注射,副反応など
chapter 4 破傷風抗毒素の予防と治療効果
chapter 5 破傷風の死亡数と死亡率の変遷
chapter 6 破傷風の臨床像,経過と診断
chapter 7 破傷風の原因となった外傷
chapter 8 破傷風菌の抗生物質と消毒薬感受性
chapter 9 破傷風の治療,合併症と病理所見
chapter 10 破傷風の予後と死因
chapter 11 破傷風患者収容施設
chapter 12 日常診療と破傷風
chapter 13 破傷風と法律問題
chapter 14 破傷風症状の発現機序
chapter 15 破傷風菌の分布と密度
chapter 16 破傷風菌の分離法と形態
chapter 17 破傷風毒素の構造と毒性
chapter 18 破傷風国際会議
chapter 19 その後の破傷風治療実績
chapter 20 文学作品に現れた破傷風
chapter 21 破傷風研究の流れ ―破傷風菌の純培養から
治療法の確立まで
chapter 22 破傷風患者減少の理由
chapter 23 破傷風研究の将来
あとがき
文 献
索 引

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レビュー

自著紹介

海老沢 功/元東邦大教授
破傷風菌は、日本人が尊敬する北里柴三郎が1889年に純培養に成功した、強い毒素を産生する嫌気性菌である。破傷風には有効なワクチンが開発されているが、治療は今日でも最も困難な中毒性疾患である。
欧米諸国では、破傷風は予防注射の対象とすべき疾患で、治療の対象とすべき疾患ではないと強調されている。しかし、破傷風には伝染性がないので、日本の予防接種対策では軽視されている。
そこで、その治療の難しさを文学作品などを交えて述べ、予防注射の効果を小児期のジフテリア・破傷風・百日咳三種混合ワクチンとジフテリア・破傷風ワクチンから始まり、一般外傷患者に接したときの破傷風の予防対策、患者発生時にとるべき処置まで詳述した。
今後日本の医学界を背負って立つ医学生諸君が本症を理解するために、本書が役立ってくれることを願ってやまない。

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書評

竹内一夫(杏林大名誉教授)
このたび、太平洋戦争の最中にともに机を並べて学んだ海老沢功博士の「破傷風 第2版」を読んで、改めて豊富な内容と軽快な筆致に感銘を受けた。
本書には、破傷風の基礎から臨床までがくまなく盛り込まれている。その意味では立派な専門書であるが、一般の教養書としての魅力をも十分に備えているのが、本書の特徴でもある。したがって多くの味気ない医学書とは違い、とても読みやすい。それぞれのテーマに関する興味深い事例や逸話、そして案外知られていない臨床例も豊富に盛り込まれている。そのため、平素は破傷風とあまり縁のない私自身でさえも、全巻を一気に読み終えてしまったほど面白く、そして肩の凝らない本である。
わが国では、幸いにも幼少児の患者は著しく減っているが、成人の症例は、最近増加傾向にあり、筆者はこの現象を警告している。
一方、世界的にみると、破傷風による死亡数は今日でもなお100万人を超え、その半数以上が新生児である。また、日常、素足で歩いているような社会経済状態とも関係深いといわれる。
地震・津波や台風・洪水などの天災はもとより、交通事故やテロなどによる人災の犠牲者があとを絶たない今日、「治に居て乱を忘れず」の譬えのごとく、破傷風についてもわれわれは改めて勉強すべきではなかろうか。
著者が強調しているように、予防注射の重要性の認識と、訓練された医師や看護師が治療に当たれば、破傷風は近代医学で90%以上助けられる疾患であることを、すべての医療関係者は忘れてはならないであろう。

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