日本医師会は11月29日の会見で、今年10月に実施した「医師の働き方改革」と地域医療への影響に関する調査結果を発表した。それによると、今後の医師派遣の予定について、もっぱら医師を派遣する医療機関のうち26.2%が派遣先の医療機関に「伝えていない」と回答していることがわかった。日医は、「まだ見通しが立っていないためと推測される」として、今回のデータを地域に還元していく考えだ。
今回の調査は、「医師の働き方改革」について医療機関側の現時点での準備状況や意向を調査したもので、全国の病院・有床診療所にアンケート。病院3088施設、有床診療所1262施設の合計4350施設から回答を得た。回答率は病院37.9%、有床診療所21.1%。
今後の医師派遣・受け入れの状況について尋ねたところ、もっぱら医師を派遣する141医療機関(回答医療機関全体の3.2%)は「継続する」が68.1%、「一部縮小する」が5.7%、「伝えていない」が26.2%―という結果。
一方、もっぱら医師を受け入れている2640医療機関(同60.7%)では「継続する」が69.0%、「一部縮小する」が5.6%、「中止する」が0.3%、「連絡なし」が25.1%―で、派遣元の医療機関の予定とほぼ似た傾向となった。
病院の宿日直許可の取得状況をみると、「取得あり」が74.0%、「取得に向け対応中」が20.8%、「取得が困難」が1.3%、「取得は検討していない」が3.9%―という結果だった。
来年度の制度開始以降、自院の医療提供についての懸念事項を尋ねたところ(複数回答)、病院では「宿日直体制の維持が困難」が36.5%、「派遣医師の引き上げ」が30.0%、「救急医療の縮小・撤退」が18.1%―などとなった。一方、「特に変化なし」が最も多く、47.3%に上った。
これに対して有床診療所では、「宿日直体制の維持が困難」が13.9%、「派遣医師の引き上げ」が13.0%、「周産期医療の縮小・撤退」が10.7%―など。「特に変化なし」は70.2%だった。
会見で調査結果を発表した城守国斗常任理事は、「10月に入っても医師の派遣の予定を派遣先に伝えられない、派遣先から連絡がない医療機関がこれだけ多いのは、見通しが立っていないためと推測される。都道府県別に集計したデータを(都道府県医師会に)フィードバックする予定で、行政とも共有し、検討材料にしてほしい」と説明。来年2月に改めて調査を実施する予定で、「できる準備はすべてしていく」と強調した。