中央社会保険医療協議会は12月6日、救急医療がテーマとなり、高齢救急患者に対応するための「下り搬送」の評価のあり方や、「救急医療管理加算」の見直しなどについて議論した。
年々増加傾向にある軽症・中等症の高齢救急患者への対応は、次期改定の最重要課題の1つ。厚労省はその対応策として、救急医療機関等を受診後に他の医療機関でも対応可能な患者を転院搬送する「下り搬送」の取り組みを診療報酬上で評価することを提案した。
算定要件として、①搬送元医療機関の救急搬送の受け入れ実績が一定程度以上ある、②搬送元医療機関の救急外来から直接または入院後速やかに転院搬送を行い、搬送先の医療機関に入院した場合を評価の対象とし、救急外来から直接転院した場合をより高く評価する、③搬送元医療機関は受け入れ先の候補となる各医療機関が受け入れ可能な疾患や病態について、各医療機関や地域のメディカルコントロール協議会と協議した上で、候補となる医療機関を事前にリスト化する、④転院先の医療機関等と定期的に救急患者の受け入れについて協議を行うとともに、その際に搬送した患者のその後の診療経過について共有を受けている―ことなどを求める考えも示した。
これに対して診療側の太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は、「これだけ詳細、厳密な要件を設定するようなものなのか。この評価によって救急医療体制が変革してしまうリスクを考えると慎重な検討が必要だ」と指摘。長島公之委員(日本医師会常任理事)も、「救急医療体制は地域によって大きな差があり、下り搬送が唯一の解決方法ではない」と否定的な見方を示した。
一方、「救急医療管理加算」の見直しでは、厚労省から(1)同加算の算定要件のうち、JCS 0で「イ 意識障害又は昏睡」に該当する場合や、NYHA Ⅰ度もしくはP/F比400以上で「ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態」に該当する場合の評価、(2)同加算2を算定要件「シ その他の重症な状態」で算定する場合の取り扱い―が論点として提示。支払側は(1)で挙げられた状態を同加算1の対象から除外することや、(2)の「シ その他の重症な状態」の廃止を要望した。これに対し診療側はいずれの見直しにも強く反対している。