中央社会保険医療協議会は1月31日、看護職員や病院薬剤師などの医療関係職種の賃上げについて具体案を了承した。医科では、「初・再診料」や「在宅患者訪問診療料」等に上乗せする「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」と、同料では十分な賃上げ原資を確保できない無床診療所の救済措置としての「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」、さらには病院と有床診療所を対象に「入院基本料」等に上乗せする「入院ベースアップ評価料」の3つの加算を新設する。
「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」は、病院、診療所共通の評価とし、初診や再診、訪問診療を行った際に該当する算定区分の報酬を算定する。
無床診療所のうち、透析や内視鏡検査の専門施設などでは、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」の算定収入だけでは賃上げ原資に大幅な不足が生じることが事前のシミュレーションでわかっている。
そこで、こうした無床診療所の追加的加算として「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」を設け、(Ⅰ)・(Ⅱ)の同時算定を認める。対象施設の基準は答申時に明らかになるが、これまでの議論では「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」の算定後の賃金増率が1.2%未満の施設とする案が出ている。
「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」は、初診時または訪問診療時の算定点数と再診時の算定点数を組み合わせた複数の評価区分を設定。対象施設は所定の計算式を用いて該当する評価区分を判定し、地方厚生局に届け出る。
一方、病院と有床診療所は、「入院基本料」等の加算である「入院ベースアップ評価料」も算定できる。「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」が一律の点数設定であるのに対して、「入院ベースアップ評価料」は、賃上げの補てん率の施設間格差が最小化されるよう、評価区分をきめ細かく設定(これまでの議論では150区分)。各施設は、賃上げ対象職員の給与総額、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」で算定される点数の見込み、延べ入院患者数などを所定の計算式に当てはめて算出した値から該当する評価区分を判定し、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」と同様、地方厚生局等に届け出る。
いずれの評価料とも、①基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げによる賃金改善を原則とする、②賃金改善に関する計画書の作成、③賃金改善の状況の定期的な報告―などを施設基準で定めるとしている。