中央社会保険医療協議会が2月14日に答申した2024年度診療報酬改定では、質の高い在宅医療を確保するため、ICTを活用した情報共有への評価や、頻回の訪問診療の適正化などが盛り込まれた。
このうちICTの活用では、「在宅療養移行加算」で他院との連携体制構築を新たに評価する。地域において24時間対応の在宅医療体制を整備することがねらいで、在宅療養支援診療所等が連携する医療機関が、患者の往診に対応した場合を評価する。
「在宅療養移行加算」は在支診以外の診療所による在宅医療を評価する点数。これを今回、病院(在支病を除く)にまで算定対象を拡大する。さらに連携する医療機関と定期的なカンファレンスやICTの活用を通じて患者の診療情報などを共有できる体制を整備した場合の上位区分(加算1、3)を新設し、(1)加算1=316点、(2)加算2(旧加算1)=216点、(3)加算3=216点、(4)加算4(旧加算2)=116点―の4区分の評価に再編成する。
これに対応させる形で在支診等側では、在支診等以外の医療機関が訪問診療を行っている患者に往診した場合の評価(往診時医療情報連携加算200点)を新設する。
「在宅時医学総合管理料」や「施設入居時等医学総合管理料」、「在宅がん医療総合診療料」においても、ICTによる医療情報連携の評価として「在宅医療情報連携加算」を新設。他院の医師や薬局薬剤師、訪問看護ステーションの看護職員、介護支援専門員などがICTを使って記録した診療情報等を活用して計画的な医学管理を行った場合に、月1回に限り100点を算定する。
高齢者施設等を中心とした効率的な訪問診療の提供や、頻回訪問に対する評価の適正化も図る。
「在医総管」と「施設総管」では、単一建物診療患者の数が10人以上の場合の算定区分を設けて人数に応じた減額措置を強化するほか、直近3カ月の訪問診療の算定回数等が2100回超の場合に、単一建物診療患者が10人以上の場合の評価を所定点数の6割に減額する措置を導入する(看取りの件数等が基準を満たす場合は除外)。
「在宅患者訪問診療料」では、過去3カ月の患者1人当たりの平均訪問回数が12回を超える在支診等について、超過した翌月1カ月間に限り、同一患者の同一月における5回目以降の訪問診療の評価を所定点数の5割に減額する。
訪問診療や継続的な外来診療を行っていない患者に対する緊急往診も見直し、実質的な引き下げを行う。具体的には、「往診料」の算定要件の注1に新たに「ニ」として上記の患者に対しては、(1)緊急往診加算=325点、(2)夜間・休日往診加算=405点、(3)深夜往診加算=485点―を算定するようにする。