社会保障審議会医療部会は3月21日、「新たな地域医療構想等に関する検討会(仮称)」を新設し、2040年頃を見据えた新たな地域医療構想に関する議論を開始することを決めた。年末の最終取りまとめを目指す。初会合は3月下旬の予定。
今後の医療・介護の複合ニーズを抱えた85歳以上人口の増加を見込み、新しい地域医療構想は、現行の機能別の入院病床の整備だけでなく、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等にまで対象を広げた地域の医療提供体制全体の構想とする。
検討会では主に、(1)40年頃を見据えた医療提供体制のモデル、(2)病床の機能分化・連携のさらなる推進、(3)地域における入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制―について議論する。
(1)では、地域の類型(都市部、過疎地等)ごとの医療需要の変化に対応する医療提供体制のモデル(医療DX、遠隔医療等の取り組みの反映)などを検討。(3)は、現在の地域医療構想の取り組みを外来や在宅、介護との連携に広げた場合の対応を議論する。具体的には、①入院・救急・外来・在宅・介護連携・人材確保等を含めた医療機関の役割分担と連携、②外来、在宅、看取り、医療従事者に関する将来推計、③医療機関からの機能報告(機能区分、報告基準等)、④外来・在宅・介護連携等の議論を行う区域(構想区域)、⑤都道府県の権限、⑥介護保険事業等を担う市町村の役割―などが検討項目に想定されている。
検討会は3月下旬の初会合後は、月1〜2回の頻度で開催し、年末に最終的な意見をとりまとめる。その後、国による新たな地域医療構想に関するガイドラインの検討・発出(25年度)、都道府県における新たな地域医療構想の検討・策定(26年度)を経て、新しい地域医療構想に基づく取り組みの始動は、第8次医療計画の後半の取り組みが始まる27年度となる見通し。
なお、現行の地域医療構想の進捗状況の評価や推進策の検討は引き続き、「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」が担う。その過程で明らかになった課題を新検討会と共有し、新しい地域医療構想に関する議論に反映させる。