厚生労働省は3月28日、2025年に向けた地域医療構想の進め方に関する医政局長通知を都道府県知事宛に送付した。国、都道府県、医療機関の取り組み事項を整理し、国の対応として全国10〜20カ所程度の構想区域で伴走支援のモデル事業を行うとしている。
今回の通知は、同省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」の方針が決定したことを踏まえたもの。3月中旬に開かれた検討会では、25年の「病床機能報告上の病床数」と「将来の病床数の必要量」にデータ特性だけでは説明できない差異がある構想区域が存在することや、すべての構想区域で何らかの医療提供上の課題を抱えていることが明らかになった。このため残り2年となった地域医療構想の推進について、追加的な対応が必要と指摘されていた。
このため通知では、関係機関が24・25年度に取り組むべき内容を明確化するとともに、国が追加的に行う支援の内容などを記載。それによると都道府県と医療機関には従来からのPDCAサイクルに基づく地域医療構想の推進を引き続き求めるが、それと並行して追加的対応も実施する。
具体的には、24年度前半に国が「推進区域(仮称)」(都道府県当たり1〜2カ所)と「モデル推進区域(仮称)」(推進区域の中から全国10〜20カ所程度)を設定。推進区域では都道府県が地域医療構想調整会議による協議を経て24年度中に「推進区域対応方針(仮称)」を策定し、25年度に同方針に基づく取り組みを進める。医療機関は推進区域対応方針を踏まえて自院の対応方針を改めて検証し、必要に応じて見直しを行う。モデル推進区域では、国がデータ分析等の技術的支援や地域医療介護総合確保基金の優先配分等の財政支援を行う。推進区域やモデル推進区域の設定方法、推進区域対応方針などの詳しい内容については、別途通知で示される予定。
国はこのほかにも、①都道府県別・構想区域別に病床機能報告上の病床数と将来の病床数の必要量、医療機関の診療実績、医師数等を見える化し、厚労省ホームページで公表、②都道府県の取り組みや、医療機関の機能転換・再編等の好事例の周知、③都道府県等の取り組みに関するチェックリストの作成―などを通じてすべての構想区域を重層的に支援。25年の地域医療構想実現を目指す。