2024年度診療報酬改定(6月1日施行)で生活習慣病管理料などの要件に「リフィル処方箋の交付が可能な旨の院内掲示」が盛り込まれたことに対し、保険医の間で疑問や反発の声が広がっている。大阪府保険医協会は4月10日、この要件に84%の会員が反対しており、賛成はゼロ─との調査結果をまとめた。
リフィル処方箋交付の院内掲示要件が盛り込まれたのは、地域包括診療加算、地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)。これらの点数の施設基準に「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であること」について院内の見やすい場所に掲示しているとの文言が明記された。
厚生労働省は3月28日に全国に送付した「疑義解釈資料(その1)」で具体的な掲示内容を示し、長期投薬とリフィル処方箋交付の「いずれの対応も可能であること」を掲示する必要があることを明確化。ダウンロードして利用できるポスター(画像)も公表した。
大阪府保険医協会は「リフィル処方箋交付が可能な旨の院内掲示の要件化」を会員医療機関がどう受け止めているかを調べるため、4月8日に緊急アンケートを実施。10日までに367件の回答が寄せられ、要件化に「反対」が308件(84%)、「どちらともいえない」が58件(16%)に上り、「賛成」はゼロだった(無回答1件)。
「反対」の理由については、「責任が取れない」(188件)、「長期処方で対応可能」(133件)、「処方箋管理が患者任せになる」(124件)が上位を占めた。生活習慣病の管理におけるリフィル処方の必要性について医療現場ではほとんどコンセンサスが形成されていない実態が浮き彫りになった。
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