厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は4月17日、関係団体と有識者からのヒアリングを行った。発表者からは構想区域(二次医療圏)の見直しや、病院機能の明確化などを求める声が相次いだ。
ヒアリングは4〜5月にかけて4回程度予定されている。初回のこの日は構成員のうち香取照幸(未来研究所臥龍代表理事)、江澤和彦(日本医師会常任理事)、相澤孝夫(日本病院会会長)、猪口雄二(全日本病院協会会長)、松田晋哉(産業医科大学教授)―の5氏が意見を発表した。
香取構成員は、新たな地域医療構想は、地域における医療・介護提供体制全体の改革を織り込んだ改革遂行型の構想にする必要があると指摘。その具現化に向けた施策として、①40年または60年の人口と医療資源を念頭においた医療圏の見直し、②かかりつけ医機能の実装、③医療従事者の負担を軽減するためのタスクシフトやテクノロジーの活用―などを挙げた。
■構想区域の見直しや病院機能の明確化を求める声も
江澤構成員は、今後見込まれる医療・介護ニーズを併せ持つ85歳以上人口の増加に対応できるよう、「治す医療」から「治し支える医療」への転換を図っていく必要性を強調。地域医療構想を「地域医療介護構想」に改め、地域医療構想調整会議に市町村や介護関係者の参加を求めることや、在宅医療圏を原則、市町村単位で設定し、それらを包含する構想区域(二次医療圏)との連携を密にすることなどを具体案として示した。
相澤構成員は、一般病院の病院機能に着目して、紹介受診重点外来や高度急性期医療など担う「広域型病院」と、かかりつけ医機能などを担う「地域型病院」に類型化し、病院の機能分化と連携を促進することを提言した。医療圏を現在の二次医療圏よりも狭い日常生活圏を基本単位として再編する案も示した。
猪口構成員は、医療資源の地域差や患者の流入・流失などを考慮し、二次医療圏の範囲について、①複数の小規模二次医療圏を統合しての運用、②基幹病院の病床数を、周囲の二次医療圏との共有を前提に各二次医療圏に仮想的に配賦する―などの弾力的な運用を提言。現行の病床機能に加え、病院機能の考えを導入することも提案した。