健康保険組合連合会は4月23日、健康保険組合の2024年度予算編成の早期集計結果を公表した。それによると、経常収支差引額は6578億円の赤字となる見通しであることが明らかになった。保険給付費の高い伸びや後期高齢者の増加に伴う高齢者拠出金の増加により、赤字額は前年度比で956億円拡大した。
健保連に報告があった1353組合の24年度予算数値をもとに、24年4月1日時点に存在する1379組合の財政状況を推計した。
経常収支の状況をみると、24年度の経常収入は9兆53億円(対前年度比4.5%増)、経常支出は9兆6631億円(5.3%増)、経常収支差引額は6578億円の赤字となった。経常収入のうち保険料収入は被保険者数の堅調な伸びと賃上げの追い風・効果を漸次的に反映させ、前年度比で4.5%(3811億円)の増加を見込んだ。
ただ、経常支出も保険給付費(対前年度比6.2%、2945億円増)や高齢者拠出金(4.6%、1701億円増)の増加により経常収入を上回る伸びとなったため、赤字額が前年度からさらに拡大する結果となった。特に保険給付費の伸び率は、新型コロナ感染拡大下での医療費の高い伸びや著しい変動が懸念材料となり、例年に比べて高めの水準となった。
また、標準報酬月額の平均は39万1372円(対前年度比1.9%増)、標準賞与額の平均は119万7287円(3.0%増)となった。各組合が設定した保険料率を単純平均した平均料率は9.32%となり、前年度予算比で0.05ポイント上昇。収支均衡に必要な実質保険料率は10.27%(0.17ポイント増)となった。組合全体の24.6%に相当する333組合で、設定料率が協会けんぽの平均保険料率(10.00%)を上回った。赤字組合数は1194組合(対前年度比103組合増)となり、全体の86.6%を占めた。
なお、各組合の予算編成は収入・支出とも前年度の上半期データに基づいて行われるため、その後の実績の動向は反映されていない。24年度は大幅な賃上げに伴う保険料収入の増加や、保険給付費の伸び率が23年度下半期以降鈍化しているなど、健保組合の財政にとってプラス要因が期待されるが、健保連は「高齢者拠出金の増加は続いており、全体として厳しい収支状況は続いている」との見方を示している。