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■NEWS 日本医学会連合が遠隔医療の研究で提言を発表

No.5221 (2024年05月18日発行) P.70

登録日: 2024-05-15

最終更新日: 2024-05-15

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日本医学会連合(門脇孝会長)は426日、「遠隔医療の研究に関する提言」をホームページで公開した。これは診療ガイドライン検討委員会オンライン診療ワーキンググループ(南学正臣委員長)がまとめたもので、学会ごとにどのような場面で遠隔医療が適しているかを提言。それぞれについて、想定される患者、想定される形態、必要とされる研究などが列挙されており、この提言を各学会が活用するよう求めている。

「提言」では、まず作成の経緯を説明。COVID-19のパンデミックを契機に諸外国では遠隔医療の飛躍的な発展がみられたものの、わが国ではオンライン診療も期待されたほど普及していないと指摘。「遠隔で診療行為を行うことはすでに世界の常識であり、日本はITの社会活用に大きく立ち遅れてしまっている」と危機感を表明している。このため連合傘下の学会に対し、遠隔医療が国民の健康に貢献するために今後どのような研究を行うことが望ましいか検討を依頼し、それをとりまとめたとしている。

各学会から寄せられた提案は、直接優劣をつけることが困難だったため、「提言」では(1)遠隔医療の適切な発展に特に大きく資すると思われる分野横断的研究、(2)かかりつけ医の先生方が自身で診療している疾患を対象とした研究、(3)かかりつけ医の先生方と専門医が協力して診療する特殊性の高い疾患を対象とした研究―の3分野に分けて記述。

このうち(1)の「分野横断的研究」では、①情報通信機器を用いた疾病管理、体調管理、②災害時における医療提供/救急受診の要否の判定―の2研究を挙げている。特に①では、大規模感染症陽性者の隔離中のモニタリングなどを指摘、オンライン診療実施者への構造的アンケートによる事例調査・診療指針執筆などが研究として必要とされると位置づけている。

2)の「かかりつけ医が診療している疾患の研究」では①甲状腺機能低下症・脂質異常症を対象とした遠隔医療(提案:日本内分泌学会)、②へき地/離島における医療相談、診療(日本内科学会)、③炎症性腸疾患・移行期医療(日本消化器病学会)―など21研究が提案。それぞれについて、背景、想定される対象患者、想定されるオンライン診療の形態・対面診療との組み合わせ方法、想定される場面、利用が検討されるデバイス、必要とされる研究の例、関連するガイドライン―が取り上げられている。

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