厚生労働省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」は7月3日、医師の偏在是正のため総合対策パッケージの議論に入った。この総合対策パッケージは「骨太の方針2024」に盛り込まれたもので、24年末までの策定を目指す。
検討会では骨太方針に記載された項目のうち、(1)医師養成過程での地域枠の活用、(2)総合的な診療能力を有する医師の育成、(3)リカレント教育の実施―を中心に議論する。厚労省はこの日、これらの課題の現状と検討の方向性を整理した資料を提出。それによると(1)では臨時定員地域枠について、医師多数県では一定数削減し、都道府県を超えた偏在是正が特に必要な医師少数県や一部中程度県では、24年度水準からの増加を許容する現行の対応を26年以降の数年間は継続することを提案。恒久定員内地域枠は好事例を広め、設置促進につなげる案を示した。
(2)では、全国8大学に総合的な診療能力を有する医師の育成・確保のための拠点(総合診療医センター)を設置し、地域枠学生の選考時から卒業後のキャリア支援まで一貫した指導体制を整備する国の予算事業を紹介。18年から始まった総合診療専門医の養成のあり方も検討課題に挙げた。
(3)では、地域での勤務意向がある中堅以降の医師のリカレント教育について、大学の総合診療医センターを中心とした対応に加え、学会や病院団体が協力して研修や地域における実践的な機会の提供、総合診療の魅力発信を一体的に実施できるような方策の検討を要請した。
委員からはポスト2025の新たな地域医療構想やかかりつけ医機能の確保にも深く関わる、総合的な診療能力を持つ医師の育成に関する意見が多く出された。総合診療専門医の育成とリカレント教育が柱となるが、特に総合診療専門医については「取得した後の2階(サブスペシャリティ領域の専門医資格)がないのは非常にまずい状況だ」(國土典宏・国立国際医療研究センター理事長)など、複数の委員が「取得後のキャリアパスが見えなければ専攻医の増加は期待できないのではないか」と問題提起した。