厚生労働省の「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」は7月5日、2025年4月に施行される「かかりつけ医機能報告」について、医療機関に報告を求める内容を固めた。「1号機能」のうち、争点となっていた一次診療の対応の取り扱いについては、17の診療領域のいずれかの領域が行えること、かつ一次診療の対応ができる疾患の報告を求めることで決着。かかりつけ医機能の研修・総合診療専門医についても、その有無を報告することでよいとすることになった。
「かかりつけ医機能報告」で報告を求める内容は、1号機能(日常的な診療を総合的、継続的に行う機能)、2号機能(時間外診療や入退院時支援、在宅医療、介護との連携)、その他の報告事項(健診、予防接種など)―に分かれる。1号機能の報告事項の要件をすべて満たした医療機関のみが「1号機能を有する医療機関」となり、2号機能なども含めて都道府県に報告を行うことになる。
検討会では5月24日の会合で、厚労省から1号機能に求める要件として、(案1)臨床研修の到達目標35項目の症状のうち必修とされている20項目以上について一次診療を行えること、(案2)17の診療領域または案1の35項目の症状のいずれかについて一次診療を行えること―などの案が提示。かかりつけ医機能に関する研修や総合診療専門医の取り扱いについても、(案1)研修修了者や総合診療専門医がいること、(案2)研修修了者や総合診療専門医の有無について報告すること―の2案が示されていた。これに対して委員からは案1の厳しい要件を認める意見と、案2にとどめるべきとの意見が対立。特に医療団体の委員からは案2が支持され、さらに「症状」ではなく「診療領域」での対応とするよう求める意見が出されていた。
7月5日の検討会で固まった1号機能の報告事項は、(1)1号機能を有すること及び「報告事項」を院内掲示で公表していること、(2)かかりつけ医機能に関する研修修了者及び総合診療専門医の有無、(3)17の診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること(一次診療を行うことができる疾患も報告)、患者からの相談に応じることができること―の3事項。
これまでの案2に近い内容に落ち着いたことになるが、(2)は改正医療法施行後5年を目途に改めて議論することになった。研修の充実状況等を踏まえて検討する。
また(3)のうち、報告を行う疾患の対象は、患者調査で推計外来患者数が多い傷病をベースに検討し、設定する。厚労省は生活習慣病やがん、白内障、認知症など40疾患を原案として提示したが、今後の検討で増減する可能性もある。報告の様式には、対象疾患以外で一次診療への対応が可能な疾患を報告できる記載欄も設ける予定。
相談対応に関しては、症状別での対応状況のような細かな制約は設けず、単に患者からの相談に何でも応じられるかどうかを報告するとしている。自院が一次診療に対応していない場合は、適切な医療機関に紹介することが想定されている。