厚生労働省は7月10日開かれた「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」に、2023年度病床機能報告の速報値を示した。総病床数は119.3万床となり、地域医療構想の目標である25年の病床必要量の119.1万床に近づきつつあることがわかった。病床機能別の病床数と必要量の差も縮小し、同省は「一定の進捗が認められる」としている。
病床機能報告は全国の医療機関が病棟ごとに病床数を都道府県に報告するもの。地域医療構想で推計されている25年の病床必要量と、実病床数との乖離率の推移をみると、総病床数は15年の+5.0%が23年は+0.1%へと大幅に縮小。病床機能別の乖離率も軒並み縮小し、(1)高度急性期:+29.9%→+22.3%、(2)急性期:+48.8%→+31.2%、(3)回復期:△65.2%→△45.6%、(4)慢性期:+24.7%→+6.6%―となった。
一方、医療機関からの報告を積み上げた25年7月1日時点の見込み数は119.0万床となり、必要量を下回る見込みであることもわかった。病床機能別の内訳は、(1)高度急性期:16.2万床(23年比0.2万床増)、(2)急性期:51.8万床(0.7万床減)、(3)回復期:21.1万床(0.7万床増)、(4)慢性期:29.7万床(0.6万床減)―となっている。
WGには、24年3月末時点の地域医療構想調整会議における検討状況等の調査結果も報告された。厚労省は23年3月の改正告示と通知で、構想区域ごとに年度目標を定め、PDCAサイクルに基づく取り組みを進めるよう都道府県に指導している。
調査結果によると、構想区域全体(341区域)のうち91%(312区域)が年度目標を設定。医療機関の対応方針について措置済みを含む「合意・検証済」の割合が100%の都道府県は29府県、80%超の都道府県は13都府県だった。特に100%を達成した都道府県は前年同月比で24府県増と大きく伸びた。
速報値や調査結果からは地域医療構想の進捗が読み取れるが、その一方で①依然として25年の病床必要量と病床数の乖離が大きい構想区域が存在する、②年度目標を設定していない構想区域や、対応方針の策定状況が「協議・検証未開始」の医療機関が一定数存在する―など、構想区域によって進捗状況に差があることも浮き彫りになった。
厚労省は、病床機能報告に基づく病床数と25年の病床必要量はそもそも計算方法が異なり、仮に差異があっても調整会議で合意した結果であれば問題ないとしながらも、都道府県や医療機関の取り組みへの積極的な支援を継続する方針を示している。