厚生労働省は7月10日の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」に、2024年度病床機能報告の実施案を提示し、了承された。24年度診療報酬改定で新設された「地域包括医療病棟入院料」の届出病棟は、入院患者の実態等に応じて「急性期機能」または「回復期機能」のいずれかを選択して報告する扱いとする。
病床機能報告は、医療法に基づき自院の病床が担う機能を病棟単位で都道府県に報告する。制度上、1つの病棟につき1つの機能しか選択できないが、実際の病棟には様々な病期の患者が混在するため、構成比が最も高い患者に合わせて機能の選択が行われている。例えば「地域包括ケア病棟入院料」の届出病棟は、急性期機能、回復期機能、慢性期機能の3機能からの選択が可能となっている。
地域包括医療病棟は、高齢者の救急患者等に対してリハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に提供する病棟として新設。今後、高齢者の入院割合が高い「急性期一般入院料1〜6」届出病棟や、救急患者の受け入れに積極的な地域包括ケア病棟などからの転換が見込まれている。
こうした病棟の位置づけを踏まえ、病床機能報告では個々の病棟の役割や入院患者の状態に照らして、主に回復期機能を提供している場合は回復期機能を、主に急性期機能を提供している場合は急性期機能を選択する取り扱いとする。
救急医療体制に関する報告項目も一部見直す。救急搬送時に病院選定が難航することが多い休日、準夜帯、深夜帯の実態把握のため、手術・処置の「時間外加算」、「休日加算」、「深夜加算」の1および2の算定件数の報告を新たに求める。
この日のWGには、国が25年の地域医療構想の実現に向けた伴走支援を行うモデル推進区域の選定状況も報告された。伴走支援の内容は(1)技術的支援(地域の枠組みを超えた構想区域や都道府県間の意見交換会の設定など)、(2)財政的支援(個別医療機関の再編統合を実施する場合の上乗せの財政支援など)―で構成されている。
7月5日時点で選定済みのモデル推進区域は、①秋田県【大館・鹿角、能代・山本】、②山形県【庄内】、③栃木県【宇都宮】、④群馬県【伊勢崎、藤岡】、⑤石川県【能登北部】、⑥山梨県【峡南】、⑦三重県【松阪】、⑧滋賀県【湖北】、⑨京都府【丹後】、⑩山口県【宇部・小野田】、⑪高知県【中央】、⑫長崎県【長崎】―の12県14区域。厚労省は、これ以外の都道府県からの選定についても引き続き調整を行うとしている。