中央社会保険医療協議会は7月17日、医療DXに関する診療報酬上の評価見直しについて武見敬三厚生労働大臣から諮問を受け、即日答申した。「医療DX推進体制整備加算」は2024年10月1日からマイナ保険証の利用実績に応じた3段階の評価に変更。最も高い評価の「加算1」は11点とし、今年12月末まではマイナ保険証利用率15%以上を要件とする。また「医療情報取得加算」は初診時、再診時とも1点とする。
医療DXに関する診療報酬上の評価の見直しは、2月14日の中医協答申の際、附帯意見で今年度早期より見直しを行い、「適切な要件設定について検討を行うこと」などと求められていたもの。
まず「医療DX推進体制整備加算」(現行は8点)は、「加算1」が11点、「加算2」が10点、「加算3」が8点―と見直す。マイナ保険証利用率の基準値は、今後の利用状況の推移を勘案しながら段階的に引き上げていく考えで、(1)24年10〜12月は「加算1」が15%、「加算2」が10%、「加算3」が5%、(2)25年1〜3月は「加算1」が30%、「加算2」が20%、「加算3」が10%―と設定。25年4月以降の基準値は24年末を目途に改めて検討し、設定する。
基準値の設定を巡っては、利用率の施設間格差が大きいことが課題となっていた。3段階の設定にしたのは、現時点で一定の実績がある施設がいっそうの利用率向上に取り組むためのインセンティブの付与と、利用率が低い施設の加算算定が困難にならないようにするための対応を両立する狙いがある。
マイナ保険証の利用率には、「レセプト件数ベースの実績(マイナ保険証の合計利用者数/レセプト枚数)」と「オンライン資格確認件数ベースの実績(マイナ保険証利用件数/オンライン資格確認等システム利用件数)」の2種類がある。加算の利用実績要件には、このうち適用時期の3カ月前のレセプト件数ベースの実績を用いることを原則とする。ただし、24年10月〜25年1月の間は経過措置として、適用時期の2カ月前のオンライン資格確認件数ベースの実績を用いることも認める。
このほか「加算1・2」の施設基準に「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること」を追加する見直しも行う。
一方、「医療情報取得加算」は健康保険証の廃止でマイナ保険証を基本とした仕組みに移行することを踏まえ、標準的な問診票やオンライン資格確認で取得した医療情報等を活用した質の高い医療の提供に対する評価に位置づけを変更。これに伴い、マイナ保険証の利用の有無に着目した点数差(現行は初診時=3点、1点、再診時=2点、1点)を解消し、初診時、再診時とも1点に統一。算定の頻度は初診時が1カ月に1回、再診時が3カ月に1回に限るとする要件は変わらない。施行は24年12月1日から。改定関係の告示は8月中となる見通しだ。