読者の皆さんは、日本国内に図書館がいくつあるかご存知だろうか?
日本図書館協会が公表している資料によると、2023年4月1日時点で自治体が運営している公共図書館数は3310館となっている1)。これに国立図書館、専門図書館、大学図書館、学校図書館などを加えるとかなりの数になる。
図書館といえば、本を借りに足を運んだことがある人は多いと思う。本だけでなく、音楽や映像などのコンテンツも所蔵されており、利用したことがある人もいるのではないだろうか。最近では、こだわりの設計で観光名所となっているような図書館もある。私事だが、2023年に仕事で伺った石川県立図書館は、閲覧スペースに足をふみ入れた途端、圧倒されたことを覚えている。いずれの場合も、図書館は利用したい人が目的を果たすために行く場所ということになる。一方、図書館職員の立場からすれば勝手にやってきた利用したい人の要求に応える立場となり、いわゆる受動的な役回りを担っていることになる。
しかし、先日参加した研究会で司書の方から、図書館が能動的な役割を果たすために様々な取り組みを行っていることを教えてもらった。たとえば、下記のようにフェイクニュース(偽・誤情報)を見きわめるためのノウハウをインフォグラフィックの形で国際図書館連盟(IFLA)が公表し、国民に対して情報リテラシーの啓発活動に取り組んでいるという2)。
日本の公共図書館もホームページを調べると、様々なイベントが開催されている。それらは単に情報を提供するだけでなく、情報をもとに参加者と一緒に考える機会を提供する情報リテラシーの向上を目的としたものも多い。
ちなみに、「司書」は図書館法で定められた国家資格である。都道府県立図書館や国立国会図書館、医学図書館のレファレンス(参考業務)担当司書は、検索エンジンや医中誌Webなど、各種データベース検索に関する知識がある。彼らに尋ねることで、図書館の新たな一面を知ることができるかもしれない
【文献】
1)日本図書館協会公式サイト:日本の図書館統計.
https://www.jla.or.jp/library/statistics/tabid/94/Default.aspx
2)国際図書館連盟(IFLA)公式サイト:How To Spot Fake News.
https://www.ifla.org/news/how-to-spot-fake-news-ifla-in-the-post-truth-society/
大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[統合医療・補完代替療法(56)]