厚生労働省は11月8日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」に、外来・在宅医療・介護との連携についての基本的考え方や協議の進め方などを整理した案を提示した。
新たな地域医療構想では人口の高齢化に伴う在宅医療の需要増への対応が課題の1つとなっている。このため医療機関の在宅医療への新規参入促進などが求められるが、その一方で在宅医療が不足する地域では介護保険施設等が補完的役割を担っているとの意見もある。実際、訪問診療患者数は地域によって大きく異なるが、介護保険施設定員数や医療区分1該当患者が入院する療養病床数も加えて比較すると、地域差は小さくなる。
また、外来・在宅医療の主たる担い手である診療所において医師の高齢化や内科以外の診療科の確保が課題となる中、病院がこれらの分野で一定の役割を果たしている地域も見受けられる。
こうした現状から厚労省は、地域の医療需要と資源に応じて診療所や中小病院とともに、訪問看護ステーションや介護施設・事業所等が連携しながら外来・在宅医療提供体制の整備を進めていく必要があると指摘。その上で、新たな地域医療構想の策定・推進のための協議については、(1)かかりつけ医機能報告や外来機能報告等のデータを基に、現在および将来の医療需要と資源の状況を踏まえつつ、地域の外来・在宅・介護連携等に関する状況や将来の見込みを整理して課題を共有、(2)共有した課題への対応を議論し、必要な外来・在宅医療の提供のための取り組みを行う―という流れで進めることを提案した。
共有する課題の例には、医師数や診療領域ごとの診療体制、時間外診療・在宅医療・在宅介護の提供状況、後方支援病床の確保状況、慢性期・在宅需要と在宅医療提供量・療養病床・介護施設・高齢者住まい等の状況―などを列挙。具体的取り組みの例には、(1)不足する医療提供のための方策(在宅医療研修やリカレント教育の推進、医療機関の在宅対応力の強化、在宅患者の24時間対応の中小病院等による支援、診療所の承継支援、医師の派遣、巡回診療の整備等)、(2)オンライン診療や医療DXによる在宅医療等の効率的な提供のための方策―などを挙げた。