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■NEWS 「診療・介護・障害報酬への物価・賃金反映」など決議─自民有志が関係団体集め緊急集会

登録日: 2025-04-22

最終更新日: 2025-04-22

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夏の参院選に向け、医療・介護・福祉の危機的状況を打破する機運を高めるため、医系議員ら自民党の参院議員有志は4月18日、党本部で「医療・介護・福祉の現場を守る緊急集会」を開いた。診療・介護・障害報酬への物価・賃金反映などを求める4項目の要望を決議し、同日中に石破茂首相に手渡した。

緊急集会には、日本医師会、全日本病院協会、日本看護協会、日本製薬団体連合会(日薬連)など関係9団体のトップや自民党の国会議員が参加した。

■日医・松本会長「医療費削減を出発点とした提案に怒り」

日医の松本吉郎会長は「政治の世界で医療費削減を出発点とした様々な提案がなされていることに私たちは非常に怒りを感じている。憤慨している」と述べ、危機的状況を打破するためには補助金と診療報酬両面による対応が必要と訴えた。

全日病の猪口雄二会長は、2024年度診療報酬改定の後、病院の経営状態がさらに悪化していることを強調。日薬連の岡田安史会長(エーザイ代表執行役)は「8年連続で薬価引下げが行われ、イノベーションの毀損によりドラッグラグ、ドラッグロスの問題、医薬品の供給不安の問題が生じている。我々医薬品業界も心を一つにして、社会保障の財政フレームの見直し、薬価の中間年改定廃止に向けて頑張っていく」と述べた。

■自民・田村調査会長「医療・介護・福祉の従事者も現役世代」

国会議員を代表して挨拶した田村憲久衆院議員(自民党社会保障制度調査会長、元厚労相)は「財政当局は(現役世代の)手取りを増やすために(医療・介護・福祉の)報酬を上げられないという言い方をするが、協会けんぽの保険料は14~15年上がっていない。医療・介護・福祉の現場で働いている方々も現役世代であり、この方々の処遇を改善する、手取りを増やすことだけはなぜ分断されているのか」と指摘。

「世の中は複雑系で成り立っている。全体の最適解を探すのが政治。最近、政治が粗っぽくなっているのではないか」と述べ、分断を生じさせる政治に抵抗していく姿勢を示した。

採択された決議は①期中改定も視野に、診療・介護・障害報酬が物価・賃金の上昇に応じてスライドする仕組みを導入、②社会保障の財政フレームを見直し、「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」取り扱いを改める、③中間年における機械的な薬価引下げを廃止、④小児医療・周産期体制を維持するための新たな枠組みを検討─の4項目。自民党参院議員有志は昨年12月、加藤勝信財務相、福岡資麿厚労相らにもこれらの申し入れを行っている。

財政当局の論法を批判する田村憲久党調査会長(緊急集会の配信動画より)

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