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えらいぞ光合成 [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(108)]

No.4813 (2016年07月23日発行) P.72

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-23

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  • ある生化学の教科書の監訳に取り組んでいる。読んでさくさくと論理を追えるような日本語にするには、英語からの直訳ではダメで、思っていたよりかなり難しい。けれど、結構やりがいのあるお仕事だ。

    監訳をしながらこういうことを言っておってはいかんのだが、我ながら知らないことが多いのに驚いている。なかでも、医学部の生化学では教わることのなかった光合成についてはまったくの無知であった。

    何を今さらと言われそうだが、太陽の光をエネルギーに変換する光合成は偉大である。生物を構成する有機物は、もとをたどれば、すべて光合成に由来する。それだけではない。石油などの化石燃料も、大昔におこなわれた光合成によるものなのだ。

    光のエネルギーが捕らえられ、酸化還元など一連の反応を介して、炭酸ガスから炭水化物の合成にいたる、その分子機構にはいたく感動した。酸素を産生する細菌であるシアノバクテリアの細胞内への寄生によって葉緑体ができたとされているが、これだけ複雑なものがよく進化してきたものだ。

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