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「重症者の定義」巡り激しい攻防 - 支払側、新基準「25%は最低ライン」 [どうなる?診療報酬改定]

No.4782 (2015年12月19日発行) P.10

登録日: 2015-12-19

最終更新日: 2016-11-25

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(概要) 7対1病床の要件見直しを巡り、中医協の議論が激化している。主な争点は「重症度、医療・看護必要度」の基準見直し。支払側は厚労省案の25%以上を「最低ライン」とした。

前回2014年度診療報酬改定に続き、次期16年度改定でも7対1入院基本料算定病床の削減は最重要課題の1つ。しかし、9日の中央社会保険医療協議会総会(田辺国昭会長)で厚生労働省が示した直近(10月)のデータから、7対1の病床数は36万9700床と、4月時点に比べ特定機能病院入院基本料からの移行分を除いても約4000床増加していることが明らかとなった。
この状況に対し、幸野庄司委員(健保連)は「要件を厳格化したにもかかわらず(前回改定前から)約1万床減少という結果は、非常に少ない印象」と指摘。
これに強く反発したのは中川俊男委員(日医)。1日当たりの7対1算定患者数が減少しているとの調査を踏まえ、「患者数が減り、病床稼働率も約3%減少している。つまり実質的には(1万床より)もっと7対1病床は減っていることを理解してほしい。病床が稼働していなければ医療費はかからない」と反論した。7対1の病床数の解釈を巡っては、診療側と支払側ともに譲らず、最後まで応酬が続いた。

●中川氏「病棟の現場見てほしい」
会合では厚労省が、7対1の要件見直しに向けた論点として、「平均在院日数」「患者像の評価」「在宅復帰率」の3項目を提示。特に議論が白熱したのは患者像の評価についてだ。
急性期医療に相応しい患者像として、厚労省は「重症度、医療・看護必要度」における重症者の定義について、現行から手術直後の患者や認知症・せん妄の患者など急性期に密度の高い医療を必要とする状態を評価に加味(別掲)し、(1)A得点(モニタリングや処置など)が2点以上かつB得点(患者の状況など)が3点以上、(2)A得点が3点以上、(3)新設するM得点(手術などの医学的状況)が1点以上─のいずれかを満たす患者とする方針を提示。基準を満たす患者割合について、「シミュレーション」(宮嵜雅則医療課長)としつつ、見直しで約2.9~4.9%の減床効果のある「25%」に設定する案を示した。
幸野委員は「75%も重症でない患者がいるのに急性期と言えるのか」と問題視し、「25%は最低ライン」と強調。これを受け中川委員は「一度病棟の現場を見て来てほしい。数日前まで基準を満たしていた術後の患者が日に日によくなっていき、やがて回復期に移っていくのが現実。病棟には色々な患者が混在している。ICUやCCUと違い、患者全員が急性期という病棟など存在しない」と反論した。

●次期改定意見書は両論併記に
11日の総会では、公益委員が提示した次期『診療報酬改定への意見』案を了承。田辺会長から塩崎恭久厚労相に提出された。
意見は支払側と診療側双方の主張を盛り込んだ両論併記となった。改定率については支払側がマイナス改定とすべきとする一方、診療側は地域包括ケアシステムの確立には過不足ない財源投入が必要であるとして「診療報酬本体はプラス改定とすべき」とした。

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