社会保障審議会医療保険部会は12日、政府の経済・財政再生計画の改革工程表に盛り込まれた医療保険制度改革に向けた論点のうち、①金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担のあり方、②入院時の光熱水費など患者負担の見直し─を巡り議論した。
介護保険制度では、施設入所時の食費や光熱水費について原則自己負担となる。しかし、低所得者に対しては「補足給付」という形で、所得に加え2014年に導入された金融資産などを勘案して負担が軽減される仕組みがある。政府は医療保険の「入院時食事療養費・生活療養費」においても介護保険と同様に、①の負担能力という指標を導入したい考え。
会合では、介護保険の現状について、「金融資産は自己申告に頼らざるをえず、判断が困難」「浸透状況が分からない」との指摘が複数出た。「導入は時期尚早」との意見が大勢を占め、今年度の導入は見送られる公算が大きい。
また②を巡っては、療養病床に入院する65歳以上の光熱水費の自己負担額(320円)を370円に引き上げる形となりそうだ。介護保険では低所得者の居住費負担が15年4月から370円に引き上げられている。これを踏まえ、保険者側委員を中心に医療区分Ⅰの患者について、「同様の水準まで引き上げて整合性を図るべき」との指摘があり、診療側も容認する見込みだ。