No.4719 (2014年10月04日発行) P.12
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-03-23
厚労省の15年度予算概算要求が最大の31兆6688億円となった。安倍政権の重点施策を盛り込んだ「優先課題推進枠」に2443億円を計上、昨年に続き医療の産業化・効率化に重点配分された。
厚生労働省は8月26日、2015年度予算概算要求をまとめた。社会保障費の自然増分(8200億円)が容認されたことから、一般会計の総額は31兆6688億円となり、今年度予算(30兆7430億円)に比べ9258億円増(3.0%増)となった。医療・介護分野の主な項目は右頁の通り。
社会保障・税一体改革における「社会保障の充実」に該当する項目(別掲)については、消費税率10%への引上げを年末に判断することなどから要求額を明示しない事項要求の扱いとした。
15年度予算は政府の方針に基づき、昨年度同様、経済成長につながる「医療産業の活性化」や医療費抑制につながる「医療の効率化」に重点配分される形となった。中でも政府が6月にまとめた「日本再興戦略改訂2014」の実現に向けた「新しい日本のための優先課題推進枠」では、昨年の1617億円から826億円増となる2443億円を計上している。
推進枠に盛り込まれたうち、医療産業の活性化に向けた取り組みでは、従来からの医薬品や医療機器の開発の促進に加え、医療の国際展開に対する要求額が前年度予算から大きく上乗せされた。医療・保健分野における覚書を交わした東南アジア、中東など9カ国を中心とした医療従事者の育成や公的医療保険制度の整備に関する支援などに前年度の1億円から13億円増の14億円を計上。医療関連産業活性化に関する概算要求は総額で109億円となった。
医療の効率化に向けた取り組みでは、ICT化を推進した上で、レセプト分析などのデータを活用し、予防・健康管理を推進する項目が盛り込まれた。主な項目と要求額は、①レセプトや健診情報の分析に基づく「データヘルス計画」策定などの保健事業推進に17億円、②国が保有するレセプトデータ(NDB)を活用し、地域別の医療情報をまとめた「NDB白書(仮)」作成に向けたシステム改修などの取組に20億円、③DPCデータ活用に向けた一元管理のためのデータベース構築やレセプト・特定健診情報収集に向けたソフトウェアの開発などに29億円─となっている。
2014年度に成立した医療介護総合確保促進法で定める「新たな財政支援制度(基金)」については、事項要求のため2015年度の予算規模は「未定」とされた。15年度の税収見積りを踏まえ、年末の予算編成の過程で金額が固まることになる。14年度の基金は医療のみが対象で904億円規模だったが、来年度からは介護も対象となるため、医療分野で今年度と同額を確保できるかに注目が集まる。
このほか、来年度からスタートする新制度に向けた主な新規項目として「地域医療構想作成のための研修の実施(1900万円」「医療事故調査制度の実施(11億円)」「看護師の特定行為の研修制度実施に向けた取り組み(6.4億円)」などが盛り込まれた。