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リンパ管腫(リンパ管奇形)の新分類と治療の現状  【エタノールによる硬化療法の著効例や,漢方薬の有効性が報告されている】

No.4793 (2016年03月05日発行) P.56

高間勇一 (大阪大学小児成育外科)

奥山宏臣 (大阪大学小児成育外科教授)

登録日: 2016-03-05

最終更新日: 2016-10-26

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リンパ管腫は,リンパ管の形成不全で胎生期のリンパ組織が孤立して拡張した病変と考えられている。形態から囊胞状リンパ管腫や海綿状リンパ管腫と呼ばれてきた。近年,The International Society for Study of Vascular Anomalies(ISSVA)は,リンパ管腫を脈管奇形(vascular malformation)のひとつとしてリンパ管奇形(lymphatic malformation:LM)と分類した(文献1)。また,形態により囊胞径が1cm以上をmacrocystic LM,囊胞径が1cm以下をmicrocystic LMなどと細分類している。
治療は,従来からOK-432による硬化療法が一般的である。OK-432硬化療法は特にmacrocystic LMに有効で,保険収載されている。一方,OK-432に非奏効の難治例に対し,エタノールによる硬化療法の著効例の報告も増えている。また,最近では漢方薬の越婢加朮湯や黄耆建中湯の有効性が報告(文献2)されている。今後,こうした漢方薬は難治例での補助療法だけでなく,初期治療の選択肢のひとつとしても期待される。
なお,難治症例では部位や状態によっては長期に治療や観察を要するため,「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」により難病に指定され,また「改正児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病対策」により小児慢性特定疾病として認定された。

【文献】


1) ISSVA:ISSVA Classification of Vascular Anomaliesc2014. International Society for the Study of Vascular Anomalies, 2014.
2) 第20回日本小児外科漢方研究会:リンパ管腫の漢方治療(シンポジウム). 2015.

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