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■NEWS 難治性リンパ管疾患へのシロリムス療法など明記─血管腫などで新ガイドライン

登録日: 2023-04-07

最終更新日: 2023-04-10

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難治性血管腫などを調査研究している厚生労働科学研究班(研究代表者:秋田定伯福島県立医大特任教授)は3月31日、「血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022」を発表した。2017年版の発行以降、難治性リンパ管疾患に対するシロリムス(販売名:ラパリムス錠)療法の承認など新知見を反映させ、内容を拡充している。

ガイドラインには「動静脈奇形」「静脈奇形」「毛細血管奇形」「乳児血管腫」「混合型脈管奇形・症候群」「リンパ管疾患」の診療アルゴリズムと関連するクリニカルクエスチョンを掲載。

リンパ管疾患のうち「難治性の乳び胸水や心嚢液貯留、呼吸障害を呈するリンパ管腫症やゴーハム病」に対する治療法については、2017年版では「単独でエビデンスレベルの高い有効な治療法は存在しない」と記載されていたが、2022年版では「栄養療法、薬物療法、外科的治療、硬化療法、放射線治療などの治療が必要に応じて組み合わせて行われる。その中でもシロリムス療法は、優先的に考慮される治療」と明記。

リンパ管奇形(リンパ管腫)に対する漢方薬(越婢加朮湯など)の有効性に関するCQも新設し、「有効性を確実に評価できる研究報告は現時点ではない」としながら「副作用などの合併症は少ないため、使用を検討してもよい」と記載している。

混合型脈管奇形・症候群に関しては、治療法として薬物療法を追加。「特にPIK3CA遺伝子変異のある症例にはmTOR阻害剤(シロリムス)やPI3Kα阻害剤(アルペリシブ)の効果が期待できる」として、使用を推奨している。

ガイドラインは「難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」ホームページよりダウンロードできる。3月にはリンパ脈管筋腫症(LAM)に関する「診療の手引き」も別の研究班から公表され、ダウンロード可能となっている。

【関連情報】
血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン 2022(難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および 関連疾患についての調査研究サイト)
リンパ脈管筋腫症(LAM)診療の手引き 2022(日本呼吸器学会サイト)

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