夏休みが近づいています。色々な遊び場に繰り出すお子さんも多いのではないでしょうか。遊び場は子どもの発達に不可欠な場です。遊びを通じて彼らの創造力や創造性は育まれていきます。裏を返せば、子どもは大人が思ってもいない方法で新しい遊び方を編み出していきます。それは遊具も同様で、「正しい遊び方」を守るように監督するのは大人の役目ですが、常に子どもが「正しい遊び方」を守ってくれるとは限りません。「誰もやっていないような遊び方」は子どもにとって大きな魅力です。一方、そのようなときに事故のリスクは高まります。
したがって、遊具の事故を防ぐためには、正しい遊び方からたとえ外れても、すぐには大きなケガにつながりにくい環境を整えることが大切です。そのためケガの種類や好発年齢、起こりやすい状況を知ることはとても有用です。
遊具による子どもの事故は春と秋に多く、4〜5歳児に最も起きやすく、6歳以下が7割とのデータがあります。遊具の種類は滑り台が最多で、次いでブランコ、鉄棒と続きます。海外でも同様の傾向です。遊具の種類から想像がつく通り、ケガの種類としては転落や転倒が多くを占めています。そのリスクに関しては、遊具の高さが1.5mを超えると骨折のケガが増えることが指摘されています。そのほかには、手すりやガードレールがない場合、遊具の周囲が衝撃を吸収しない固い面である場合にケガのリスクが高くなります。
遊具に関する事故の予防策としては以下のポイントが重要です。まず、6歳以下の事故が全体の7割を占めていることから、6歳以下の幼児には保護者が付き添うことが大切です。
また、公園で遊ぶときはひもやフードのついた服を避けることや、カバンや水筒をかけたまま遊具で遊ばないという注意喚起も必要です。意外に医療者にも十分知られていませんが、公園などで、子どもの服装や持ち物が引っかかったり首に絡まって死亡したりする事故が報告されているためです。服のひもの先についているボンボンや飾りボタンは引っかかりやすく、フードはドアなどに引っかかって首が締まってしまったケースなども報告されています。医療者自身がそのリスクを認識して広く発信することで、一般のリスク認知の向上のみならず、「重大事故につながりにくい設計」といったメーカー側の環境整備にもつながると期待しています。
坂本昌彦(佐久総合病院・佐久医療センター小児科医長)[ケガの好発年齢][服装・持ち物]