人工知能(AI)関連ベンチャーのPreferred Networksの岡野原大輔副社長が12日、医療分野でのAIに関するセミナーで講演し、「情報の新たな計測方法の開発が課題」と強調した。
岡野原氏はゲノム情報の計測について、「1カ月単位や半年単位の採血などでは時間的にも量的にも得られる情報が少ない」として、日々の遺伝子発現量をモニタリングすることで疾患の予測や予防につながる可能性を指摘。「コンタクトレンズや歯ブラシなどを通じて涙や歯垢からゲノム情報を計れるようにしたい」と展望を語った。さらに、「AIで生体内のモデルをつくり、シミュレーションができるようになれば、創薬のための治験でかかるコストも削減される」とAIの発展に期待を示した。
岡野原氏によると、AIの技術を用いた医療で特に発展が期待されるのは、がんの分野。「大量のゲノム情報などを解析し、個々の病気に対して最適な治療法を導くことはAIにしかできない」と述べ、ゲノム解析による個別化医療が進展しているがん分野から医療AIの活用領域を広げていきたいとした。