日本医療機能評価機構は12月15日に「医療安全情報No.121」を公表した。経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音の聴取のみで胃内に入ったと判断したが、実際には気道に誤挿入したまま栄養剤や内服薬を注入し、患者の呼吸状態に影響があった事例が報告された。
報告は、2013年1月1日から16年10月31日に集計された11例。
そのうち事例1では、医師は気管切開している患者に経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。その後、看護師が栄養剤の注入を開始したところ、患者は咳き込み、呼吸苦を訴えた。医師は気管孔から気管支鏡を行い、気管内にチューブが挿入されていることがわかった。
事例2では、看護師は経鼻栄養チューブを挿入後、胃内容物を吸引できなかったが、他の看護師と2名で気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。看護師は、内服薬を注入する前に再度、他の看護師と気泡音を聴取した。内服薬を溶かした白湯を注入すると、咳嗽が出現しSpO2が80%前後に低下した。胸部エックス線撮影を行ったところ、右気管支にチューブが挿入されていることがわかった。
同機構は、気泡音の聴取は経鼻栄養チューブの胃内への挿入を確認する信頼できる方法ではないとして、チューブが胃内に挿入されていることを確認する手順を決め、遵守するよう注意喚起している。
残り1文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する