4歳、女児。左重複腎盂尿管+尿管異所開口。この患児は急性腎盂腎炎による発熱を複数回認め、九州の病院で精査を受けた。腎超音波検査にて左水腎症および水尿管を認め、そこに感染を起こしていた。抗菌薬投与により腎盂腎炎を治療した後、CTを行ったところ、左重複腎盂尿管の上半腎が水腎・水尿管になっていることが判明した。また、下部尿管の走行も正常ではなく異所開口が疑われ、これにより尿失禁も認めていた。以上より、左重複腎盂尿管、上半腎水腎・水尿管症、尿管異所開口と診断され、その病院で開腹術による左上半腎摘除術を勧められたが、低侵襲手術を希望し、私のところに紹介されたのである。
私は2008年に、専用器具を用いて臍部より行う単孔式腹腔鏡手術の泌尿器科領域での本邦初症例を行っていた。最初は成人症例が対象であったが、その後、体の成長とともに傷跡も大きくなる小児に対して、手術の傷がほとんどない本手術が非常に有用であると考え、小児症例を増やしていった。これらの症例を含めた本術式を積極的に学会発表していたところ、それを聴いた女児の担当医より、私のところに行くことを勧められたのが、遠方より受診した経緯である。
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