厚生労働省の「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」(座長=間野博行国立がん研究センター研究所長)が3月27日、初会合を開いた。懇談会では、がん個別化医療の実現に必要なゲノム解析拠点の整備や、ゲノム情報を利用した医薬品の適応拡大、ゲノム関連検査の薬事承認・保険適用などについて制度的検討を加え、6月をメドに実現化への道筋を示した「推進計画」を取りまとめる。
間野氏は会合で、日本のゲノム医療体制の立ち遅れを指摘。同分野での日本の“挽回”を期するため、国民皆保険制度下でのゲノム医療の推進を提唱した。
体制のイメージとしては、人工知能(AI)を活用しながら、ゲノム情報と臨床情報を集約したデータベースを構築。現在の拠点病院制度の中に、①遺伝子変異の臨床的意義を提供するなどの診療支援、②遺伝カウンセリング等の患者支援の底上げ、③既承認薬の適応拡大を目指す臨床試験・治験の支援─などの機能を付加したゲノム医療の拠点を整備すべきとした。
会合に出席した塩崎恭久厚労相は「日本の環境に即したゲノム医療を患者に早期に実現し、がんとの闘いに終止符を打たなければならない」と述べ、ICTやAIを活用したゲノム解析基盤を整備し、医療従事者がゲノム情報を活用した治療を提供できる体制構築を急ぐ考えを示した。