No.4850 (2017年04月08日発行) P.72
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2017-04-08
最終更新日: 2017-04-05
若い頃、60歳まで生きられたら十分かと思っていた。しかし実際にその年齢になってみると、当然ながら全くそんな気にはなれない。とはいうものの、歳をとるにつれて、できなくなってきたことは多い。
お酒はめっきり弱くなった。いちばん強かったのは、30歳前後だろうか。文字通り毎日だったし、翌日起きられないほど飲むこともあった。最近は、家で飲むことはほとんどなくなったし、したくとも二日酔いするほど飲めなくなった。
睡眠時間もめっきり短くなった。若い頃は8時間近く眠っていたが、最近はせいぜい5~6時間だ。週末など、もっとゆっくり寝たいのに、目が覚めて眠れない。ただ、朝食後は二度寝できるので、寝るにもエネルギーを必要とする体質なのかもしれん。
ものは考えようだ。お酒を飲まなくていい能力や、あまり眠らなくていい能力を獲得したという考え方も可能である。そういえば、夕方に駅弁を買う時は必ずアルコール類を買っていたけれど、最近はお茶で済ますことが多い。宴席の二次会など皆勤だったが、これも断る能力を身につけた。こう考えたら、意外と悪くないやないの。
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